【排気ブレーキの不調サイン】放っておくと思わぬ事態に繋がるかも!

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排気ブレーキはバス、トラックといった大型車両に使われている補助ブレーキの一種です。
なぜ排気ブレーキが大型車両に必要なのか知っていますか?
今回は排気ブレーキについて、仕組みやメンテナンスをご紹介していきます。

■排気ブレーキってどんなもの?

最初に排気ブレーキの構造や仕組みについてご説明いたします。

・排気ブレーキの構造

「エキゾーストブレーキ」と聞いてピンとくる方も多いかもしれません。
排気ブレーキはエンジンブレーキを補助する役割を持ち、大型車を安全に運転するために必要な部品です。
車種や製造元によって取り付けられている位置は違いますが、どれもマフラーに繋がっています。

・排気ブレーキが作動する仕組み

排気ブレーキはアクセルから足を離すことで作用します。
マフラー内の可動式のフラップやバタフライ弁が閉じることで排気の流れが止まり、エンジンから排気が出にくい状態にします。

完全に弁を閉じてしまうと、排気がエンジン側に逆流してしまうので、少しだけ排気を逃すことができるようになっています。

排気が溜まりやすくなることでエンジン内の排気圧が上昇し、エンジンの回転速度が抑えられて減速するという仕組みになっています。

・排気ブレーキはなぜ大型車だけにある?

普通自動車や軽自動車にはガソリンエンジンが搭載されており、排気ブレーキがありません。排気ブレーキがなくても減速できるからです。

一方大型のバスやトラックは普通自動車よりも多くの動力が必要になるので、ディーゼルエンジンを搭載しています。

ディーゼルエンジンのエンジンブレーキだけでは減速の効果が低いということから、デメリットを解消するために排気ブレーキが搭載されました。

■排気ブレーキが故障する原因

工具

排気ブレーキの故障原因は大きく2つに分類されます。

・部品の故障

排気ブレーキにはブレーキ機能を制御するために様々な電子部品が使われています。排気ブレーキを使う際に部品に負荷がかかるだけでなく、急発進や急ブレーキといった乱暴な運転を頻繁に行うことでも、排気ブレーキに悪影響を与えてしまうでしょう。

・浄化装置に汚れが溜まっている

排気ブレーキは排気ガスの汚れが浄化装置に溜まり、DPF再生機能が作動するようになっています。正常に作動している場合は、排気バルブを閉じて汚れを燃焼させることができますが、汚れが溜まり続けると燃焼しきれなくなってしまいます。排気ブレーキが常に作動するようになると、必要以上にエネルギーが必要になり、効率的な作動ができなくなる原因となるので注意してください。

排気ブレーキの故障でもっとも多い原因は浄化装置に汚れが蓄積していることといわれています。

■排気ブレーキの違和感は不調のサイン

ここでは排気ブレーキの不調サインをご紹介します。
運転に違和感があったときは、すぐに修理を検討しましょう。

・減速ができない

もっとも危険なトラブルは「減速ができない」ということです。
これまでアクセルから足を離せば減速できていたのに、スピードが落ちなくなったと感じたときは、排気ブレーキの消耗や故障を疑いましょう。

積み荷の量によってはトラブルに気づかないこともあるので、日頃から排気ブレーキの調子を意識するようにしましょう。

・異音がする

排気ブレーキは、エンジンに溜まった排気が一気に排出されるタイミングで、独特の大きな音がします。音がしないときは、排気ブレーキにトラブルが起こっているかもしれません。

アイドリング時にも弁の開閉音がするので、弁が動いているカチッとした音が聞こえなければ点検をしましょう。

・黒煙はエンジントラブルの可能性が高い

排気ガスが急に黒くなるのは、排気ブレーキが原因というよりも、エンジンのトラブルがほとんどです。発生元にかかわらず、速やかにエンジンの修理やメンテナンスを心がけてください。

トラックのような大型車はブレーキが作動しないと大きな事故に繋がります。
大惨事になる前に、必ず修理をしましょう!

■排気ブレーキの故障を防ぐには

道路を走るトラック

排気ブレーキは耐久性が高いため、それほど故障が多い場所ではありません。しかし、使い方によっては故障リスクを高めてしまいます。

排気ブレーキの故障を防ぐためには下記の3点を意識するようにしましょう。

・荷物を積んでいないときは使わない

排気ブレーキはトラックの後輪に作用します。荷物が空の状態だと後輪に重量が足りず、スリップの原因に。特に雨の日は路面が滑りやすくなっているため、不用意に排気ブレーキを使うとスピンしてしまう危険性もあります。

中にはABS※付きのトラックもありますので、排気ブレーキのスイッチをオフにする、リヤタイヤの回転を戻すように運転してください。

※ABS…「アンチロックブレーキシステム」の略称。急ブレーキ時にタイヤロックを防ぐ機能。

・シフトダウンと併用する

排気ブレーキを使う際はトラックに荷物があり、フットブレーキを多用する下り坂や高速道路で使うのがおすすめです。そのため、減速が足りないと感じた場合はシフトダウンを併用することでより、効果的に排気ブレーキが使えます。

ただしエンジン回転数がレッドゾーンにならないように気を付けてください。

・無駄な使用は燃費の悪化につながる

荷物が空の場合は排気ブレーキをオフにしましょう。荷物がないにも関わらず排気ブレーキがオンになっていると、燃費の悪化を招きます。

排気ブレーキがオンになっているとエンジンブレーキがかかってしまい、加速を繰り返す原因になります。アクセルのみで速度をコントロールできる場合は、使用しないことが排気ブレーキを長持ちさせることに繋がるでしょう。

■排気ブレーキ以外に重要なトラックの補助ブレーキ

アクセルとブレーキ

排気ブレーキ以外にもトラックには重要な補助ブレーキがあります。こちらで2種類の補助ブレーキをご紹介いたします。

・ジェイクブレーキ(圧縮開放ブレーキ)

ジェイクブレーキはアメリカのジェイコブス社の製品名であり、メーカーによって名称が異なる部分です。いすゞや日野ではエンジンリターダー、三菱ふそうではパワータードという名前です。

エンジンブレーキの一種であり、スイッチを入れることで自動的に作動します。エンジンブレーキがかかった際に排気バルブを開閉し、シリンダー内の圧縮圧力を抜くことでブレーキの効率を高める装置です。

一般的には排気ブレーキだけでは機能が不十分になる車体にブレーキ機能を補うために搭載されています。

・リターダー

大型車に搭載されているブレーキで、流体式と電磁式の2種類があります。エンジンブレーキや廃棄ブレーキ以上の高い制動力があり、下り坂などで減速する際に使われるブレーキです。

どの種類もエンジンのプロペラシャフトに負荷をかけることで減速する仕組みになっています。

■排気ブレーキのメンテナンスについて

最後に、排気ブレーキの修理についてご紹介いたします。

・どんな修理方法がある?

排気ブレーキは部分修理ではなく、新しい部品を積み替えます。
部分的に修理、調整をしても不調が再発しやすい部分なので、積み替えたほうがトラブルを回避できるからです。

・修理費用の相場

修理費用は部品と作業工賃を含め、5万~6万円くらいかかります。
高いときは10万円ほどかかることもありますが、安全には代えられません。
排気ブレーキに不調を感じた場合は、惜しまず修理をしましょう。

・無理せず乗り換えを考えることも大切

4トン以上の大型車は、使われているパーツが丈夫なので故障しにくいのですが、小型や中型の排気ブレーキを交換しても、他の部分から不調が出るとまた修理費用が必要になります。
車の状態にもよりますが、何度も修理をするくらいなら車両の乗り換えを考えてみるのも一つの案としておすすめです。

排気ブレーキの状態が良いと、燃費を抑えたり安全に減速できるようになります。
前回の交換から期間があいているときは、トラブルを起こす前にできるだけ早めに点検、交換をしましょう。
排気ブレーキのトラブルは放置せず、安全を第一に考えて運転してくださいね。

 

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