
アームロール車は、幅広く活躍するトラックを指します。
特殊な形状をしていますが、運転や操作にはどの免許が必要でしょうか。
今回はアールロール車の特徴をはじめ、運転に必要な免許、操作方法、操作する際の注意点などをご紹介いたします。
■アームロール車とは、どんな車両?
まずは、アームロール車の特徴からみていきましょう。
・アームロール車とは
シャーシに搭載されたアームによってコンテナの脱着を行うトラックのことで、一般的に「アームロール車」と呼びます。
ただしアームロール車とは、新明和工業が取り扱う車両の商標です。正式名称は「脱着ボディーシステム車」、または「脱着装置付コンテナ専用車」と言います。
なお、同様の車両を製造するメーカーは多く、他にも「ロールオン」「マルチローダ」「水平脱着車」「フックロール」「ロールリフト」「マルチリフト」などの名称で販売されています。
基本構造はどれも同じで、本来の機能や果たす役割に違いはありません。
・アームロール車の特徴
アームロール車のシャーシには、リモコン制御の油圧式アームが搭載されています。
アームにより車載コンテナを入れ替えたり、ダンプのようにコンテナを傾けたりとさまざまな使い方ができるので、1台で荷物の収集や運搬、排出を効率よく行えるのが特徴です。
・アームロール車が活躍する現場
アームロール車は車載コンテナの形状によって、活躍する現場も変わります。
たとえば、平ボディのようなオープンコンテナは一般的な貨物の運搬用に使われたり、後ろが開くテールゲートコンテナは産業廃棄物や土砂の運搬用として活用されたりなど、用途はさまざまです。
他にも、家畜の肥料や糞尿を運搬する天蓋付きコンテナ、温度管理ができる保冷コンテナ、液体を運搬するタンク型コンテナ、粉末を運搬するバルクコンテナなど、積載物の形や量、状態に合わせて使い分けられています。
■アームロール車の運転免許と基本操作

アームロール車の運転に必要な免許と、知っておきたい操作の基本をご紹介いたします。
・運転や操作に必要な免許
アームロール車で公道を走る際は、車両サイズに応じた自動車免許が必要です。
なお、自動車免許を保有していれば、コンテナの脱着などの操作も行えます。
とはいえ、実際に初めてアームロール車を操作する際は、経験者に手順やポイントを教えてもらい、十分に練習をしましょう。
・アームロール車の基本操作
アームロール車は、リモコンで操作します。
コンテナを積む場合の大まかな手順は以下の通りです。
- ギアをニュートラルに入れてサイドブレーキを引く
- クラッチを踏んでPTOのスイッチを入れる
- PTOの電源が入ったのを確認して、クラッチからゆっくりと足を離す
- 車両にジャッキが付いている場合は、ジャッキを伸ばして車体を安定させる
- リモコンの「降ろし」ボタンを押してアームを降ろす
- 車両をバックさせてアームの先端にあるフックをコンテナに引っかける
- リモコンの「引き上げ」ボタンを押してコンテナをゆっくりと引き上げる(エンジンの回転数を1,500~2,000rpmまで上げて動力をサポートする)
- コンテナをシャーシに積んで固定する
- ジャッキを格納する
なお、コンテナを降ろす際は反対の手順で操作します。
■アームロール車を操作する際の注意点

コンテナは重量があるので、積み下ろし作業は危険を伴います。
アームロール車の操作に慣れているからと油断せず、常に慎重な操作を心がけましょう。
・周囲をよく確認する
積み下ろし作業をする前に、アームロール車の周りに人がいないことを目視で確認しましょう。
作業中も車両に近付く人はいないか、細心の注意を払います。
慣れないうちは、現場の人に誘導してもらいながら操作しましょう。
・安全確認を怠らない
アームロール車を操作する際は、フックがコンテナに引っかけられているか指差し確認をしてください。
また、走行中にコンテナが外れたり扉が開いたりして、道路に積載物が散乱すると大事故につながります。
出発前は、一つひとつの金具がきちんと固定できているかの確認も怠らないようにしましょう。
・過積載は罰則の対象
アームロール車の過積載は大事故の原因になるだけでなく、違反すると厳しい処分が科されます。
コンテナを積み込む前に、積載物の重量を確認しましょう。
アームロール車は、さまざまな現場で活躍するトラックです。
車両サイズに応じた自動車免許を保有していれば、操作に特別な免許は必要ないので、新たなスキルを手にしたい方はアームロール車を操作する練習に取り組んでみてはいかがでしょうか。