「あおり」はダンプに欠かせない重要な部分です。しかし、劣化や故障が多い部分でもあるため、故障した場合の修理方法やメンテナンス方法を知っておくことも重要です。
今回はダンプのあおりの役割や種類をはじめ、故障した場合の修理方法まで詳しくご紹介いたします。
■ダンプの「あおり」はどの部分?
・ダンプのあおりとは
「あおり」とは、ダンプの荷台部分をぐるりと囲んだ壁のことで、荷物を積み下ろす際に留め具を外して開閉する仕組みです。後方のみに開くタイプと、左右も後方もすべて開くタイプの2種類が存在します。
ダンプに取り付けられているあおりの枚数は、左右と後方の計3枚が一般的ですが、大型ダンプの場合は左右に2~3枚ずつ取り付けられていることもあります。
・あおりの役割
ダンプに欠かせない「あおり」には、重要な役割が3つあります。
①荷物の落下を防ぐ
あおりで壁をつくることにより、走行中でも荷物が落下しにくくなります。水分を含んだ土砂など形が定まりにくいものもこぼれ落ちる心配がありません。
②積み下ろしの負担を楽にする
留め具を外してあおりを開くことにより、あおりに傾斜ができます。その傾斜を利用することで荷物を滑らせるように降ろせるため、積み下ろしの負担が軽減できます。
③見た目のカッコよさ
ダンプのあおりにも人気のデザインがあるのをご存じでしょうか。あおりは外観の多くを占めるため、あおりのデザイン性が販売価格を左右することもあるようです。
・あおりの種類
あおりはダンプだけでなく平ボディのトラックなどにも取り付けられており、さまざまな素材が用いられています。種類は大きく「鉄」「ステンレス」「アルミ」「木製」の4つです。
<鉄製のあおり>
頑丈なので、石材や廃材などの重くて硬い荷物を運ぶ際に適しています。一方、サビやすさが弱点となり、食品類や精密機械との相性はよくありません。また、あおり自体が重いため、開閉には力が必要です。
<ステンレス製のあおり>
サビにくいため、海沿いや雨の多い地域、食品類の輸送に適しています。あおりに使われる素材の中で最も高級と言われていますが、傷に弱いのが欠点です。そのため、鉄鋼類や石材などの運送には適していません。
<アルミ製のあおり>
あおりに使われているどの素材よりも軽いので、最大積載量を増やしたいときに大変重宝します。輝きを放つ見た目から、多くのドライバーに人気のあおりです。ただし、ステンレスと同じく傷に弱いため、硬くて重い荷物との相性はよくありません。
<木製のあおり>
濡れても滑りにくく、素材に柔軟性があるため、廃家電やスクラップなどの運送に適しています。木製のあおりは金属製に比べて目にする機会は少ないものの、平ボディのトラックなどで利用されています。
■あおりの劣化や故障に注意!

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・あおりが劣化する原因
あおりは塩分や水分によるサビ、荷物の衝突でつく傷、経年などが原因で劣化します。
鉄製のあおりは雨や潮風に弱いため、サビを放っておくとどんどん劣化が進みます。サビの発生はあおりの表面が傷つくことでも起こるので、水に強いステンレスやアルミであっても油断はできません。
また、使用年数が長くなると歪みや緩みが生じることもあります。
・故障した場合の修理方法と費用
修理は自分でも行えますが、あくまで部分的な応急処置として考えましょう。蝶番やナットなど部品を交換する場合は、1,000~5,000円の部品代のみで済みます。
あおり全体の修理を業者へ依頼する場合は、故障した部分以外の修理も必要になる可能性があるため、100,000円ほどかかるケースもあります。業者へ依頼する場合はきちんと見積もりを出してもらうようにしましょう。
・あおりを長持ちさせるポイント
修理費用を抑えるためには日頃のメンテナンスが大切です。あおりを長持ちさせるためのポイントを4つご紹介します。
①前述したように、傷はあおりの劣化を進める原因の一つです。傷がついて塗装が剥がれるとサビが発生してしまうため、荷物の積み下ろしは丁寧に行いましょう。
②ダンプの荷台が汚れたら、その日のうちに洗って汚れを落としましょう。塩分や水分を含んだ汚れはサビの原因になるため、洗い終わった後はしっかりと水分を乾かすことも忘れないでください。
③雨の多い時期や屋根のない駐車場を利用する際は、荷台シートを被せて水分や紫外線からあおりをガードしましょう。
④汚れやサビが気になる部分には防錆スプレーや潤滑スプレーを吹きかけて保護しましょう。塗装が剥がれていたらタッチアップペンなどで修正塗装をするのもおすすめです。
・あおりは交換することもできる
あおりの劣化が激しい場合は交換することも可能です。あおりの交換は板金扱いになるため、業者へ依頼しましょう。
また、あおりの高さを変えて積載量を増やすこともできます。ただし、あおりの交換に伴い外寸や積載量、重量などが変わってしまう場合は、構造変更検査が必要です。
多くの荷物を積むダンプにとってあおりは欠かせません。修理のコストを抑えるためにも、メンテナンスは怠らないようにしましょう。