
幅広い車種に搭載されるエアサスペンションを「エアサス」と呼びます。
多くのトラックにも搭載されているため、仕組みや使い方を理解しておきましょう。
今回はトラックに搭載されるエアサスについて、故障を防ぐ方法も併せてご紹介いたします。
■トラックに搭載されるエアサスとは
トラックの足回りに取り付けられているエアサスについて、ご紹介いたします。
・エアサスとは
空気圧を利用して、車高を調節したり走行中の振動を緩和したりするための装置で、正式名称は「エアサスペンション」です。
走行中の快適性と安全性が保たれるため、小型以上のトラックやバス、高級車、精密機器を運搬する車両を中心に搭載されています。
・エアサスの仕組み
コンプレッサーで圧縮した空気を高圧の状態でエアタンクに溜め、必要に応じてゴム製のエアバッグに送り込みます。
出入りする空気の量によってエアバッグが収縮する動きに従い、車高が上下する仕組みです。
なお、空気の流れを制御するシステムも含めてエアサスと呼びます。
・エアサスが活躍する場面
トラックに搭載されているエアサスが役に立つ場面をご紹介いたします。
<急勾配の斜面を走行するとき>
あらかじめトラックの車高を上げておけば、積み荷の重さで車体が沈むときでも、ボディの一部が路面に接触する危険性を避けられます。
また、段差のある道路や悪路を走行する際も、エアサスが役に立つでしょう。
<荷物の積み下ろしを行うとき>
エアサスは、荷物の積み下ろし作業でも活躍します。
荷台の高さを搬入口の水準に合わせておくと、作業もスムーズです。
■トラックのエアサスの使い方を解説

エアサスの操作は、リモコンで行います。
トラックに搭載されているエアサスの操作手順を見ていきましょう。
・エアサスの使い方
- キーを「ON」(車種によっては「ACC」)に入れる
- サイドブレーキを引く
- 荷台が昇降している絵柄のボタンを押して、ランプが点灯するのを確認する
- ランプが点灯したら矢印ボタンで車高を調節する
なお、元の車高に戻す際は、矢印が荷台を挟んだ絵柄のボタンを押すと戻ります。
・エアサスの便利機能
エアサスには、調節した高さを記録する機能が付いています。
リモコンにある「M1」「M2」のボタンがメモリー機能で、「STOP」ボタンと一緒に長押しをすると車高が記憶されるので、状況に応じて使用してみましょう。
なお、記憶した車高は、「M1」もしくは「M2」ボタンで呼び出せます。
得意先の倉庫などを登録しておくと、毎回高さを調節する必要がないので、大変便利です。
■エアサスの故障を防ぐ方法はある?

エアサスは耐久性が高いので、半永久的に使えると言われています。
とはいえ、複数ある構成パーツのうち、どれか1つでも故障してしまうと、エア漏れなどの不具合を起こしたり機能が停止したりする可能性もあることを認識しておきましょう。
エアサスが故障すると自力での修理は難しく、修理工場に依頼しなければなりません。
修理費用は決して安くないので、日頃から安全運転とメンテナンスを意識してエアサスの寿命を縮めないよう、トラックを大切に扱うことが大切です。
動作に違和感を覚えた場合は、すぐに対処しましょう。
ただし、長く乗り続けているトラックの場合、どれだけ大切に扱っていてもパーツの経年劣化によりエアサスが故障してしまうこともあるでしょう。
修理を繰り返すよりも、トラックを乗り換えて負担を減らすのも一つの選択と言えます。
トラックに搭載されるエアサスは、走行中の快適性を高めて荷物を安全に運ぶために重要な装置です。
メモリー機能も活用して、作業の効率化を図りましょう。
また、故障した場合は修理工場に依頼するか、先を見据えてトラックを乗り換えるか、慎重に検討しましょう。