トレーラーにはさまざまな種類があり、荷物によって使い分けられています。日中に見かけることは少ないかもしれませんが、ポールトレーラーもその一種です。
今回は、ポールトレーラーがどんな車両かを知りたい方に向けて、ポールトレーラーの役割や構造についてご紹介いたします。
■ポールトレーラーはどんな車両?
・ポールトレーラーの役割
ポールトレーラーは、電車や鉄骨など尺の長いものを運搬する際に用いられます。運転するには、大型免許とけん引免許が必要です。
・ポールトレーラーの構造
トレーラーヘッドとトレーラーは、ステアリングドローバーと呼ばれる部品によって連結します。トレーラーには、荷物を積載するターンテーブルが装備されているのも特徴です。トレーラーの後輪にステアリングを取り付け、タイヤの向きを制御することで小回りが利くように工夫されたタイプもあります。
<トレーラーヘッド>
トレーラーヘッドには荷台のあるタイプと、ないタイプの2種類が存在します。
荷台のあるタイプは平ボディに似た形状で、荷台にトレーラーを積めるのが特徴です。一方で荷台のないタイプはセミトレーラーに似た形状で、回送時はステアリングドローバーでトレーラーをけん引して走ります。
<ステアリングドローバー>
伸縮するため、40mを超える荷物も運搬できます。伸縮するバーと並行してコードが伸びており、このコードを伝ってエアや電力が送られる仕組みです。
ステアリングドローバーが荷物の長さに足りない場合は、ターンテーブルを固定し、車両が荷物の力に負けないよう対策をします。
<ターンテーブル>
車両が向きを変えても、荷物に負担がかからないようにする役割がある部品です。荷台があるタイプの場合、荷台前方に搭載されています。荷台と連結部の両方を担い、荷物を降ろすことで連結が切り離される仕組みです。
荷台のないタイプは、連結部にピントルフック式やベルマウス式が採用されているため、多くは第五輪に搭載されています。
<架台>
ポールトレーラーに載せる荷物は、それ自体が掛け渡し台のような役割をもちますが、強度が足りない荷物の場合は、架台と呼ばれる鉄製の台を下に敷きます。
また、複数の荷物をまとめて運搬する際は、スタンション(落下防止装置)付の架台が使用されます。
■ポールトレーラーの長さと積載量
・公道を走行できる寸法
公道を走行できるポールトレーラーの長さは、一般道で16m、高速道路では12m以下です。これを超える場合は警察署の許可が必要です。申請が認められると一般道で25m、高速道路では21m以下であれば走行できます。
・全長が規定値を超える場合の通行許可
警察署の許可が必要な長さも超える場合、別途申請を行わなければなりません。
申請する際は、以下の書類を提出します。
- 特殊車両通行許可申請書
- 車両の諸元に関する説明書
- 車検証の写し
- 通行経路図
- 通行経路表
- 車両旋回軌跡図
- 積載時の荷姿図
- 出発地と目的地の詳細地図
- 貨物の概略などがわかるもの
- その他道路管理者が必要とする書類
・積載量を確認・積載量を確認する方法
ポールトレーラーの最大積載量は、車検証に記載されています。
なお、かっこ内の数字は第五輪荷重(カプラーが耐えられる重さ)を表しています。
■重大事故につながる運転に要注意!
ポールトレーラーは特殊な形状をしているため、運転には細心の注意が必要です。
・ジャックナイフ現象
急ブレーキや急ハンドルを切った際に、連結部を起点にくの字に折れる現象です。トレーラーヘッドは制御できても、トレーラーは荷重に左右されて制御が効かないため、起こります。滑りやすい路面や過積載、勾配の変わり目などで発生しやすいので、注意しましょう。
・トレーラースイング
トレーラーの後輪がロックされることによって起こる現象です。急ブレーキをかけた衝撃を避けようと急ハンドルを切ると、トレーラーが左右に揺れ動き、周囲の車を跳ね飛ばしてしまう恐れがあります。雨天時や舗装されていない道路はロックされやすいので、車間距離を十分に確保しながら慎重に運転しましょう。
・プラウアウト現象
カーブで急ブレーキを踏むとトレーラーヘッドの前輪がロックされ、曲がり切れずに直進してしまう現象です。カーブを曲がる際は車間距離を十分に取り、減速時は複数のブレーキを併用しましょう。
・スネーキング現象
ヘビのように蛇行しながら走行する様子から名付けられました。荷台の重さに左右差があるときや、タイヤの空気圧が揃っていないとき、スピードを出し過ぎたときなどに起こります。最悪の場合、道路に横転してしまう可能性もあるため、日頃のメンテナンスが非常に重要です。
ポールトレーラーは特殊な形状をしていますが、運転自体は大型免許とけん引免許があれば可能です。ただし、一歩間違えると重大な事故を起こしかねないため、運転する際は正しい操作を意識し、安全運転を心がけましょう。