ダンプの種類や分類を知ることで、どのようなダンプがどんな場面で必要になるのかを見極められるようになります。なんとなく理解していた方は一度分類について学んでみてください。
今回はダンプの種類を3つの分類方法でご紹介いたします。
■ダンプの種類「積載量」
公道を走行できるダンプには大・中・小の3つのサイズがあり、積載量によって種類が分けられています。
・小型ダンプの積載量
小型ダンプは最大積載量が2~3tになっており、車両総重量が5t未満のものを指します。
代表的な車種には、いすゞエルフ2tダンプや、三菱キャンターダンプがあります。
・小型ダンプの代表車種
<いすゞ エルフ>
型式:PB-NKR81AD
全長:4,690mm
全幅:1,695mm
全高:1,975mm
荷台寸法:長さ3,050mm、幅1,600mm、高さ320mm
最大積載量:2t
<三菱ふそう キャンター>
型式:KK-FE71EBD
全長:4,690mm
全幅:1,695mm
全高:1,990mm
荷台寸法:高さ3,050mm、幅1,600mm、高さ320mm
最大積載量:2t
・中型ダンプの積載量
中型ダンプは最大積載量3~6.5tで、一般的に4tダンプと呼ばれています。車両総重量は11t未満です。中には積載量を増やした増トンダンプもあります。
代表的な車種には、三菱ファイターダンプ、日野レンジャーダンプがあります。
・中型ダンプの代表車種
<三菱ふそう ファイター>
型式:TKG-FK71F FK71FC3D
全長:5,355mm
全幅:2,190mm
全高:2,555mm
荷台寸法:長さ3,400mm、幅2,060mm、高さ340mm
最大積載量:3.5t
<日野 レンジャー>
型式:FC9JCAD
全長:5,400mm
全幅:2,190mm
全高:2,445mm
荷台寸法:長さ3,400mm、幅2,060mm、高さ320mm
最大積載量:3.5t
・大型ダンプの積載量
大型ダンプの最大積載量は6.5~11tです。最大積載量6.5t以上であれば該当しますが、一般的には10tダンプと呼ばれています。
代表的な車種には、いすゞのギガダンプ、三菱スーパーグレートダンプがあります。
・大型ダンプの代表車種
<いすゞ ギガダンプ>
型式:LKG-CXZ77AT
全長:7,670mm
全幅:2,490mm
全高:3,300mm
荷台寸法:長さ5,100mm、幅2,200mm、高さ330mm
最大積載量:9.5t
<三菱ふそう スーパーグレード>
型式:LKG-FV50V
全長:7,605mm
全幅:2,490mm
全高:3,200mm
荷台寸法:高さ5,100mm、幅2,200mm、高さ520mm
最大積載量:9.2t
■ダンプの種類「用途」
・土砂ダンプ
土木現場でよく目にする土砂ダンプは、名前の通り土砂を運ぶためのダンプカーです。土砂以外に砂利、合板、骨材などを運ぶこともあります。
土砂ダンプは勝手に利用することができず、使用には国土交通大臣に届けを出し、認可を経て「表示番号」の指定を受けなければなりません。
<表示番号とは>
最大積載量5t以上または車両総重量8t以上の大型ダンプが土砂を積んで公道を走行する際に表示する番号です。
通称「ダンプ規制法」に基づき、荷台の側面など目立つ箇所に表示する必要があります。自家用、事業用を問わず、対象となるすべてのダンプに表示義務があり、事業内容や登録された地域が一目でわかる仕組みです。
また、文字サイズや線の幅など、表記する内容も細かく定められています。もし表示しなかったり内容を偽ったりした場合は、3万円以下の罰則が科せられるため、注意しましょう。
なお、表示番号は土砂を運搬するダンプのみが対象で、土砂禁ダンプに表示の義務はありません。代わりに「土砂等積載禁止」などの表記をします。
・土砂禁ダンプ(深ダンプ)
土砂禁ダンプは別名「深ダンプ」、「チップダンプ」などとも呼ばれます。名前の通り、土砂を運ぶことができないダンプです。
土砂禁ダンプで運ぶものは一般的に軽量の産業廃棄物がメインになっており、荷台周りにあるあおりが高いのが特徴です。
土砂禁ダンプは土砂ダンプと違い、国土交通大臣の認可は必要ありません。ただし、土砂運搬禁止の表記が車両と車検証に必要になることが「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」(ダンプ規制法)によって定められています。車両に表記する際は、後方または側面にペイントかステッカーを利用します。
■ダンプの種類「荷台の構造」
ダンプの荷台の構造は目的によって使い分けられます。
・代表的な構造
<リアダンプ>
一般的に普及しているダンプカー。土砂などのほかに産業廃棄物など運べるものが多い。リアダンプには土砂禁ダンプも含まれる。
<サイドダンプ>
荷台を左右の横方向に傾けることができるダンプカー。リアダンプと違う点は、荷台が後ろに傾かないところ。荷台が横に傾くことで狭い場所を中心に活躍する。
<3転ダンプ>
3転ダンプはリアダンプ、サイドダンプの両方の性質を持ったダンプカー。荷台を後ろと左右の3方向に傾けることができる。汎用性が高く、どんな場所でも活躍する。
<強化ダンプ>
石や岩といった硬くて重たいものを運ぶのに最適なダンプカー。硬いものが運べるよう荷台の床板部分が強化されているので、床板に傷がつきにくい。標準のダンプカーが厚さ約3mmの床板を使用しているのに対し、強化ダンプは6mmの床板になっている。
<ローダーダンプ>
ローダーダンプは荷台に土砂などを積んで運ぶだけでなく、小型重機や建機を運ぶこともできるダンプカー。荷台が傾くだけでなく、スライドして地面に接させることも可能。
<そのほかの便利なダンプ>
ユニックダンプ
運転席と荷台の間にクレーンがついており、重たいものを吊り上げて積むときに便利なダンプカー。
Lゲートダンプ
Lゲートの下部が固定されており、上部が開くので開口部分の高さ制限がないダンプカー。
■ダンプの種類「あおり」
ダンプの荷台を取り囲む壁には名前があり、重要な役割を担っています。
・あおりとは
荷台に取り付けられた壁を「あおり」といい、多くの荷物を落下させずに運搬する役割をもちます。また、あおりには種類があり、ダンプの見た目をよく見せる効果もあります。
積載量を増やしたい場合や古くなって傷んだ場合は、交換することも可能です。
<板チョコあおり>
板チョコのように表面が凸凹していることから名付けられました。
比較的軽量で、車両総重量を抑えたい場合に重宝されます。
<額縁あおり>
横から見た際に縁がぐるりと囲まれている様子が、額縁のように見えることから名付けられました。
シンプルなデザインで、多くのダンプドライバーから人気があります。
<船底あおり>
内側の下部分が傾斜しており、船底のように見えることから名付けられました。
傾斜があることで荷物が荷台の中央に寄りやすく、降ろす際の詰まりも解消できます。
<面一あおり>
「ツライチ」と呼ばれ、無駄のない最もシンプルな見た目のあおりです。
・「コボレーン」で積載物がこぼれない!?
コボレーンとは、中播自動車工業株式会社が製造する自動開閉式の飛散防止装置です。あおりの上部に装着して、走行中のダンプから土砂が落下しないよう防ぐ役割があります。
「こぼれない」という言葉にちなんで名付けられましたが、「ダンプ用シート」や「自動開閉シート」、「あおりシート」とも呼ばれています。
ダンプ規制法では、運搬時の安全策として飛散防止シートの取り付けを義務付けているものの、表示番号が隠れてしまうことも多かったため、コボレーンが活躍するようになりました。
とはいえ、ダンプを運転する際は積載量を守り、安全運転に努めてください。
ダンプカーは用途に合わせて使い分けることで、メリットを最大限活かすことができます。
今回ご紹介したダンプ以外にも種類がたくさんありますので是非一度調べてみてくださいね。