トラクターヘッドとは、トレーラーを牽引(けんいん)するための車両です。単体で走行している姿を見る機会は少ないですが、トレーラーヘッドのみで走行することも可能です。
今回は、トラクターヘッド・トレーラーの構造や走行に必要な運転免許について詳しく解説いたします。
■トラクターヘッドとは
まずはトラクターヘッドがどのようなものかをご紹介いたします。
・トレーラーを牽引する車両
トラクターヘッドはトレーラーを牽引する車両のことで、単体では荷物の積載ができません。トラクターヘッドは略して「トラクタヘッド」「トラクタ」「ヘッド」などとも呼ばれています。
トレーラー部分を変えるだけで、さまざまな形状の荷物を運べるのが大きな魅力です。
・トラクターヘッド・トレーラーの構造
トレーラーはトラクターヘッドと連結することで走行ができます。トレーラー単体では走行できません。
また、トレーラーには前輪のない「セミトレーラー」と、前後に車輪がある「フルトレーラー」の2種類があります。
トレーラーは通常のトラックよりも車体が長いため、複数のブレーキを搭載しているのも特徴の一つです。
・牽引力を左右する第5車輪荷重とは
第5車輪とは、トラクターヘッドとトレーラーを連結する部品(カプラとキングピン)です。この部品だけでトレーラーを引っ張るので、走行中は非常に大きな負荷がかかります。
トラクターヘッドの最大積載量は「最大積載量○○kg[○○kg]」と記載されますが、この[]の中の数字が第5車輪荷重です。
・最大積載量は大きさで異なる
セミトレーラーの場合、最大積載量はおよそ1軸で16トン、2軸で20トン、3軸で22トンが基本です。バラ積みであればバラ積み緩和の適用により、車両総重量は36トンまで許可されます。ただし、第5車輪荷重を超えた積載は認められません。
■トラクターヘッドを運転するために必要な免許
トラクターヘッドの運転には免許が必要です。
・トラクターヘッドのみなら大型免許で運転可能
トラクターヘッドは大型車両なので、大型免許を有していれば運転できます。そのため、トレーラーを連結せず回送業務のみなどであれば、大型免許しか有していなくても問題はありません。
・トレーラーを牽引する場合は牽引免許が必須
しかし、トレーラーを牽引する場合は、大型免許のほかに「牽引免許」が必須です。牽引免許は、車両総重量750kg以上の車両を牽引する際に必要な免許です。
牽引免許には、第一種免許と第二種免許の2種類があります。第一種免許は公道を運転する際に必要で、第二種免許はトレーラーバスなど営業目的でトレーラーを牽引する際に必要な免許です。荷物の運搬だけであれば、第一種免許で行えます。
また、750~2,000kg未満の車両総重量のトレーラーを牽引する場合は、「牽引小型トレーラー限定免許」でも運転が可能です。
・普通免許や小型特殊免許では運転できない?
運転したいトラクターヘッドが最高速度15km/h未満、高さ2m未満、幅1.7m未満、長さ4.7m未満の小型の場合、小型特殊免許でも運転できます。また、牽引免許が必要になるのは車両総重量750kg以上からなので、750kg未満のトレーラーであれば牽引免許も不要です。
しかし、一般的にこれらのトレーラーが運送業務で使用されることはほぼありません。そのため、トレーラーやトラクターヘッドを業務で使用したい場合は、牽引免許の取得をおすすめします。
トラクターヘッドとトレーラーは業務効率の向上に欠かせません。転職などでも有利になるので、スキルアップを目指している方は積極的に牽引免許を取得してみてはどうでしょうか。