トラックは高価なので、できるだけ長く乗りたいですよね。
今回はトラックの耐用年数や買い替えのタイミング、寿命を延ばす方法などについてご紹介いたします。
■トラックの耐用年数はどれくらい?
早速、トラックの耐用年数についてご紹介いたします。
耐用年数はトラックの種類や用途で変動する
耐用年数とは資産の使用価値のことで、おおよその年数は法律によって定められています。耐用年数は減価償却処理を行う際の目安となり、資産の種類や使用状況に合わせて変動します。
新車の貨物用ダンプトラックは4年、その他の貨物トラックは5年と定められています。トラックの区分には「運送事業用」や「貸自動車業用」などがあるので、どのような目的でトラックを使用しているのかを基準に調べることが大切です。
中古トラックの耐用年数を計算する方法
トラックに限らず、中古の資産を事業用に購入した場合は、購入時を起点として使用可能期間(耐用年数)がどれくらいかを見積もります。
法定耐用年数が残っていない場合は「法定耐用年数×20%」で計算します。
結果が2年未満の場合は、一律2年に引き上げられます。
法定耐用年数が残っている場合の計算方法は2種類あります。
「(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)」、または、「法定耐用年数-経過年数×80%」で導くことができます。
法定耐用年数が3年残っている場合の中古トラックを例に計算してみましょう。
一般的な新車トラックの法定耐用年数は5年でしたので次のような公式になります。
「(5年-2年)+(2年×20%)」または「5年-2年×80%」
結果は3.4になります。小数点は切り捨てになるため3年が耐用年数になります。
減価償却の計算方法は2種類
減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。
<定額法と定率法>
定額法とは、トラックの購入金額を毎年同じ額だけ償却していく方法で、「購入金額÷耐用年数」の計算式で算出します。
一方、定率法は初年度の償却額を多めに計上し、年数の経過に伴って徐々に額を減らしていく方法です。
「未償却残高×定率法の償却率」の計算式で算出します。
<どちらを選ぶべき?>
一般的には定率法のほうが負担は少ないと言われていますが、実際はそうとも言い切れません。
なぜなら、定率法は計算が複雑なうえ、事前に税務署へ届出をしなければならないからです。
また、法人であれば定額法と定率法のどちらかを選択できますが、個人事業主の場合は定額法しか選択できません。
なお、トラックの減価償却には、中小企業や個人事業主が利用できる特例があります。
金額次第では、トラックの購入費用を購入した年に一括計上できるケースもあるので、心強い特例と言えるでしょう。
耐用年数が過ぎたからといって使えなくなるわけではない
法定耐用年数は法律によって定められていますが、あくまで減価償却で用いるための基準なので耐用年数を過ぎたからといって実際に使えなくなるわけではありません。法定耐用年数を過ぎていても現役で活躍しているトラックはたくさんあります。
■トラックの寿命を延ばす方法
トラックの耐用年数を延ばす方法を3つご紹介いたします。
こまめな点検・メンテナンス
トラックを含め、多くのマシン類はこまめな点検とメンテナンスが寿命を大きく左右します。エンジンオイルの劣化や漏れなどは特に重要なチェックポイントです。エンジンオイルは定期的に交換し、劣化した状態で使い続けないようにしましょう。
<トラックのメンテナンス方法>
日頃から行うべき点検やメンテナンスの方法をお伝えいたします。
・オイル系
オイル類の交換は、自分で行えるメンテナンスの代表例です。
なかでもエンジンオイルは、人間の血液に例えられるほど重要な存在で、エンジンを保護するためには一定の量を必要とします。
そのため、こまめにチェックをし、量が少なければ追加しましょう。
また、オイルの減りが早いときは内部で漏れている可能性があるので、早めに修理を依頼してください。
・冷却系
冷却装置が故障するとエンジンがオーバーヒートを起こし、いずれ走行不能になってしまいます。
冷却装置の故障はさまざまな原因が考えられますが、主に冷却水の不足により生じるので、残量や水漏れが発生していないかを定期的にチェックしましょう。
・バッテリー
トラックの運行状況にもよりますが、バッテリーの寿命は平均で2~3年前後です。
バッテリーの種類によっては、自分でメンテナンスができる場合もあるので、使用期限を目安に行いましょう。
・タイヤ
タイヤには重量のほか、駆動力や制動力などの負荷がかかります。
そのため、偏摩耗した状態で走行を続けると、走行性や安全性、燃費が低下し、トラック自体の耐用年数を早めてしまいかねません。
タイヤの耐用年数を伸ばすには無理な運転は避け、定期的にタイヤを入れ替えて、バランスを調整することも大切です。
<修理を依頼した場合の費用>
整備工場などに修理を依頼した場合、トラブルの箇所や深刻度によって費用が変わります。
費用の目安は、以下の通りです。
オイル系統:小さな部品交換なら数千円程度、エンジンを組み直すような深刻な内容であれば20~100万円程度
冷却系統:液の補充などであれば数千円程度、修理や交換を必要とする場合は2~6万円程度
タイヤ:バランス調整などであれば5,000円程度、交換する場合は1本あたり3~7万円前後
<トラックの警告灯に要注意>
警告灯は、トラックにトラブルが起きていることをドライバーに伝える役割をもち、オレンジと赤の2色が使われています。
緊急を要する場合は赤色で点灯するため、覚えておきましょう。
トラックの代表的な警告灯には、以下が挙げられます。
キャブチルト警告灯:キャブがロックできていない
燃料フィルター水抜き警告灯:燃料フィルター内に水が溜まっている
エンジン警告灯:エンジンシステムの異常
油圧警告灯:エンジンオイルの圧力異常
水温警告灯:エンジン冷却水の異常
充電警告灯:充電系統の異常
ブレーキ警告灯:ブレーキ系統の異常
ABS警告灯:ABS装置の異常
SRSエアバッグ警告灯:エアバッグシステムの異常
急ブレーキや急発進を避ける
急ブレーキや急発進はトラックへの負担が大きく、耐用年数を縮めてしまう要因です。
エンジンへの負担を減らすことが長く走ることに繋がりますので、できる限り安定した走りを心がけましょう。
過積載を避ける
過積載は法律に触れることですが、トラックの耐用年数を縮める原因にもなります。
過積載寸前の量を運んでいると、車両に常に負担がかかっている状態になります。
積載量に注意し、荷台に余裕のある量を積む方ようにしましょう。
■トラックを買い替えるタイミングは?
トラックの買い替え時期について悩んでいませんか?
最後に3つの買い替え目安についてご紹介いたします。
販売開始から7年未満
販売されてからおおよそ7~10年でフルモデルチェンジが行われます。
以前のモデルは型落ちとして扱われるため、一般的に価値が下がってしまいます。
高額買取を狙うのであれば、販売開始時期から6年くらいを目安に買い替えることをおすすめします。
用途や積載物の規格変更
やむを得ない事情により用途や積載物の規格が変更になった場合は、トラックの買い替えを検討しましょう。まだ使えるからといって、規格サイズが異なる積荷を行うと法に触れてしまいかねませんので、きちんと用途に合ったトラックを使うようにしましょう。
修理代が高額になった場合
長く乗っていると修理代も高額になります。車検代よりも修理代が高くなった場合は、買い替えを考える時期としておすすめといえるでしょう。中古トラックとして売ることで、次のトラック購入費用に充てることができます。
トラックの耐用年数は法で定められていますが、実際は大切に乗ることで長く使えます。
しかし、手入れをしていてもいつかは必ず買い替えが必要になります。必要な時期に買い替えを行うということも、長く使うことと同じくらい大切なことですので、いつ買い替えるかの目途を立てておきましょう。