フルトレーラーとはどんなトラック?【牽引専用車両の要】

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牽引専用車両にはセミトレーラーとフルトレーラーの2種類がありますが、どのような違いがあるかご存じですか?

フルトレーラーは国内では数が少なく、セミトレーラーが主流でした。しかし、規制緩和によってフルトレーラーも活躍の場を増やしています。

今回はフルトレーラーがどのようなトラックかについてご紹介いたします。

■フルトレーラーとは

まずはフルトレーラーがどのようなトラックなのかをご紹介します。

・フルトレーラーとは

たくさんの荷物を運ぶトラックが、電車のように荷台部分がつながっているのを見たことがあると思います。あの荷台部分が「トレーラー」です。

トレーラーにはフルトレーラーとセミトレーラーの2種類があり、フルトレーラーは一般的なトラックに連結機能があるもので、トレーラー部分がなくても荷物を載せることができる特徴があります。

一方セミトレーラーは、トラクターに荷台が搭載されていないのでトレーラーなしの状態で荷物を載せることができません。
日本国内ではセミトレーラーが多い傾向にあります。

・トラクターとの違い

トラクターは牽引車両のことで、荷台部分を引っ張る車両が該当します。ほかに「トラクターヘッド」「トレーラーヘッド」などと呼ばれることもあります。

反対に引っ張られる方の車両をトレーラーと呼びます。エンジンがないのでトレーラーが単体で走行することはできません。

・フルトレーラーは大きく2種類

フルトレーラーには2種類あります。

<ドリー式>
セミトレーラーと同様に、カプラー付きのドリー(前軸台車)とトレーラーを連結するタイプです。

最初からドリーがついているタイプと、セミトレーラーを連結させるタイプの2種類があります。

車軸が前後に分かれているので荷重が分散されやすい反面、連結部分が曲がるため慎重に運転をする必要があります。

<センターアクスル式>
長いドローバーが伸びており、トラクターの後軸後部と連結するタイプです。

ドリー式のように連結部分が曲がらないためコントロールしやすい反面、車軸がトレーラーの中央にあるので荷重がトラクターにかかりやすくなります。

■フルトレーラーの形状

フルトレーラー連結

フルトレーラーには、さまざまな形状があります。

・平ボディトレーラー

平ボディトレーラーはトラックの平ボディと同じく、荷台に屋根がありません。

架装が軽いので、多くの荷物を運搬できる貨物自動車として活躍しています。

骨組みの付いた幌(ほろ)を被せると、雨や雪の日でも荷物を保護しながら走行が可能です。

・バンフルトレーラー

荷台が箱型のフルトレーラーです。

後方や側面の一部のみが開くドライバンタイプのほか、荷台の側面が大きく開くウィングタイプ、冷凍冷蔵機能を備えたタイプもバンタイプに含まれます。

・ダンプフルトレーラー

青ダンプトレーラー荷台

ダンプトレーラーの積載量は約18tと非常に重く、「ダンプアップすると車両が転倒する恐れがある」との理由で、一時期まで使用を禁止されていました。

そのため、国内ではあまり普及していません。

現在活躍しているダンプトレーラーは、土石の採掘現場からコンクリート製造工場まで原料を運搬する際に使用されています。

・コンテナ積載用フルトレーラー

海上コンテナの運搬用として誕生したフルトレーラーです。

シャーシフレームの隅に付いた金具を使って、コンテナを固定します。20フィートや40フィートなど、海上コンテナの長さに合わせて選びましょう。

■フルトレーラーは活躍の場を増やしている

これまで日本で主流となっていたのはフルトレーラーではなく、セミトレーラーでした。理由として、日本ではフルトレーラーの規制が厳しかったことが挙げられます。

ここではフルトレーラーの規制についてと、フルトレーラーを活用するメリットについてご紹介します。

・フルトレーラーはこれまでに2回規制緩和が行われている

フルトレーラーは非常に車両全長が長くなるため、長さについて制限が設けられています。2013年まではフルトレーラーは全長19メートルまでしか認められていませんでしたが、2013年に規制緩和が行われ、最長21メートルまでが認められるようになりました。

現在はさらに規制緩和が進み、セミトレーラーとフルトレーラーが連結した25メートルまで活用できるようになりました。
この規制緩和により、ドライバーが1人で今までの10トントラックの2倍もの荷物を運搬できるようになっています。

・フルトレーラーのメリット

前述したとおり、フルトレーラーを使用する最大のメリットは、10トントラック2台分の荷物を1度に運ぶことができる大容量の荷台です。

トレーラーを連結して共同運行ができるほか、輸送の選択肢を広げたことも評価されています。

さらにトレーラーは重量課税の対象外になります。
そのため10トントラックを2台保有するよりも、トレーラーを導入する方がランニングコストは低くなります。

昨今より、自動車から排出されるCO2は地球温暖化の一因になっていると言われていますが、物流業界では自動車を使った運搬が日常であるため、環境への配慮を避けては通れません。

環境性能に長けたトラックへの買い替えもさることながら、大容量の荷台を備えるフルトレーラーの導入は、排出ガス量を抑える方法の一つとなり得ます。

・フルトレーラーのデメリット

フルトレーラーの運転は大型トラックよりも難しく、判断力と高度なテクニックが求められます。

そのため、フルトレーラーのドライバーとして活躍するには、時間をかけて技術と経験を積むほかありません。

また、フルトレーラーの運転には大型免許と牽引免許が必要です。取得の難易度が高めであることもデメリットと言えるでしょう。

■フルトレーラーの運転に必要な免許とは

黒板に運転免許の英字

・大型免許

トラクターは大型自動車に分類されるため、運転には大型免許が必要です。

大型免許は、満21歳以上で普通免許などを取得してから3年以上の運転歴がないと取得できません。

取得方法と費用は、以下の通りです。

  1. 教習所に通う:23~33万円前後
  2. 合宿免許に参加する:20~23万円前後
  3. 運転免許試験場にて試験を受ける:4万円前後

運転免許試験場にて試験を受ける方法が最も手頃に思えますが、難易度は高めです。

効率よく免許を取得するなら、教習所に通うか合宿免許に参加するほうがよいでしょう。

<運転免許試験場での試験について>

運転免許試験場での仮免許技能試験に合格した後、3か月以内に5日以上の技能教習を受け、本試験に臨む必要があります。

なお、19歳以上かつ特例教習を受けた方で、準中・中・普通または大型特殊のいずれかを取得してから1年以上の運転歴がある方も受験できます。

・牽引免許

牽引免許とは、車両総重量750kg以上の被牽引車を牽引する際に必要な免許です。

取得するには満18歳以上で、普通免許などを保有している必要があります。

取得方法と費用は、以下の通りです。

  1. 教習所に通う:15万円前後
  2. 合宿免許に参加する:12万円前後
  3. 運転免許試験場で受験する:6,000円前後

なお、牽引免許には旅客用の「第二種免許」もありますが、国内では旅客を目的とした被牽引車の運行はほぼ行われていません。

・フォークリフト運転技能講習(フォークリフト免許)

フルトレーラーへ荷物を積み込む際は、フォークリフトを使用します。

ただし、フォークリフトの操作には、フォークリフト運転技能講習修了証(フォークリフト免許)が必要です。取得すると、最大積載荷重1t以上のフォークリフトを操作できます。

フォークリフト免許の講習は、大手フォークリフトメーカーや都道府県労働局長登録教習機関などで行われており、取得費用は保有する免許の種類によって異なりますが、最大で4万円前後が目安です。

物流業界は人が足りないといわれていますが、フルトレーラーを活用することで人手不足の解消にも役立つと考えられています。
頻繁に多くの荷物を運ばなくてはならない場合は、一度フルトレーラーの活用を検討してみてはどうでしょうか。

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