ユンボで仕事をしたい!ユンボに乗る為の資格や操作方法をまとめました

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ユンボは工事現場や建設現場では欠かせない重機です。ユンボに乗れるようになれば、活躍できる場が大きく広がります。

今回は、ユンボに乗る為に必要な資格や免許、また基本的な操作やコツについてまとめました。ユンボで仕事をしたいと考えている方は是非参考にしてください。

■ユンボについて

ユンボとは、運転手が乗り込むキャビンからブームとアームが伸び、その先端にバケットが装着された重機です。まずはユンボの特徴と、ユンボの資格が活用できる場をご紹介します。

・ユンボの特徴

ユンボはアームの先にあるバケットを、いろんな形状のアタッチメントに付け替えられるという便利な特徴を持っています。バケットは、幅が広いもの・狭いもの、整地が出来るもの、掘削が出来るもの、スケルトンのものなど、様々な種類があります。

大きなハサミの形状をした破砕機なら、木材の他に鉄骨や鉄筋、コンクリートなどの破砕作業が行えます。その他、攪拌ができたり、掴む動作ができたり、垂直に掘ることができるアタッチメントもあり、様々な作業をこなすことができるのがユンボです。

キャタピラーにバケットが付いたこのような重機はユンボの他に、バックホー(バックホウ)、油圧ショベル、パワーショベルなどとも呼ばれます。
それぞれ使われている機関や場所によって呼び方が異なりますが、ユンボという名前がどこからきたのかというと、ヨーロッパにあるSICAM(シカム)社が製造していた重機の製品名「ユンボ」に由来しています。

当時、技術提供を受けた日本の重機メーカーが同じ名称で販売したことをきっかけに、全国的にユンボの存在が広がり、バケット付キャタピラー重機の代名詞として「ユンボ」と呼ばれるようになりました。

1つの車両に違う名称がいくつも付けられているのは珍しく「何か違いはあるの?」と疑問に思ってしまいますが、全て同じものを指しています。現在ユンボは「株式会社レンタルのニッケン」の登録商標となっています。

■ユンボの部位名称と役割

緑色ユンボ

・キャビン

キャビンは、運転手が乗る操縦席のことです。キャビン内でユンボを操作するため、非常に重要な部分であると言えます。

操縦席がむき出しになっているタイプの場合は、キャノピという金属製の屋根が付いています。

・クローラー

クローラーは、ユンボの足元のことを指します。クローラーの素材は金属やゴム製のものがほとんどです。そのため、足場が安定しない現場での作業には適していますが、公道は走れません。作業場所までユンボを運ぶ場合は、運搬車を使う必要があります。

また、タイヤユンボと呼ばれる、クローラーがホイールタイプになっているものもあります。タイヤユンボは公道を走れるため、都市部での作業で効果を発揮します。

・ブーム

ブームは、ユンボの作業フレームで、先端のアームやバケットを操縦席とつなげる部分です。作業の用途によって付け替えて使用します。

・アーム

アームもユンボの作業フレームを指し、ブームの先に位置する部分です。アームには、標準アームやロングアーム、伸縮アームなどの種類があり、作業の用途に合わせて付け替えて使用します。

・バケット

黄色ショベルカー

バケットは、アームの先端にある、ユンボで実際に作業をする部分です。バケットはアタッチメントという作業装置への変換が可能で、掘削や粉砕などの作業を行います。

■ユンボの資格や免許が活用できる業種

アタッチメントの豊富さから、可能な作業は多種多様です。その為ユンボは多くの場で活躍します。

  • 土木・建築業

山を切り崩す作業はもちろん、土砂崩れなど災害時の復旧作業などにもユンボは活躍します。

  • 解体業

高いところまでブームを伸ばすことができる作業性能が高いタイプのものが向いています。

  • 水道管工事業

水道管・排水管の埋め込みにユンボを使用します。

  • 電気・電話工事業

地下にケーブルを通し、埋没配管を設置する際に使用します。

  • 造園・石材業

庭の整地にユンボを活用します。石材業では、墓地の敷地に合わせて掘り下げていく「根切り」という作業を行います。

  • 砕石・砂利採取業

地盤を固める際にユンボで砕石を撒いたり、建築資材で使う砂利を採取したりします。

  • 生コンクリート製造業

生コンクリートをミキサー車から受け取る際にユンボを使用します。専用のアタッチメントを使ってコンクリートを枠に流し込みます。

  • 産業廃棄物処理業

産業廃棄物の分別や積下ろしを行います。

  • 建材業

地盤改良で、セメントと土を混ぜる際にユンボを使用します。

  • 運送業

道路を自走できないクローラー式ユンボの回送を行うことができます。重機回送ができれば、建設会社やレンタル会社へのアピールポイントになります。

■ユンボに必要な資格と免許

ユンボを扱うには、操作をするための資格と、ユンボを公道で走らせるための自動車免許が必要になります。

・必要な免許は重量で変わる

運転するユンボの重量によって、必要となる自動車免許が変わってきます。

車両総重量5トン未満、最大積載量3トン未満・・・普通自動車免許

車両総重量5トン以上11トン未満、最大積載量6.5トン未満・・・中型自動車免許

車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上・・・大型自動車免許

・ユンボの資格

ユンボの資格は2種類あり、操作するユンボの重量で変わります。

小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育・・・3トン未満の重量の運転が可能
こちらの資格は、講習を受講すれば取得できます。

車両系建設機械運転技能講習・・・3トン以上の重量の運転が可能
こちらの資格は修了試験に合格する必要があります。

■ユンボの資格を取得する方法と費用

電卓をたたく画像

・ユンボの資格を取得する方法と費用

先ほどもお伝えしたように、ユンボを工事現場などで操作するためには、ユンボの重量に応じて「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」、もしくは「車両系建設機械運転技能講習」のどちらかの資格が必要です。

それぞれの取得方法と、取得にかかる費用の目安は以下の通りです。詳しくは近くの教習所に問い合わせることをおすすめします。

<小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育>

小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育は、3トン未満のユンボなどを操作する際に必要な資格です。

取得には、教習所で学科試験と実技講習を受ける必要があります。学科の講習時間は7時間ほど、実技の講習時間は6時間ほどです。

また、受講に必要な費用は、テキスト代や保険料、修了証の発行手数料を合わせて、約17,000円です。

<車両系建設機械運転技能講習>

車両系建設機械運転技能講習は、3トン以上のユンボなどを操作する際に必要な資格です。

取得には、学科試験と実技講習を受ける必要があります。学科の受講時間は13時間ほど、実技講習は25時間ほどです。

また、受講に必要な費用は、テキスト代や保険料、修了証の発行手数料を合わせて約46,000円です。

・アタッチメントが変われば講習内容も変わる

ユンボの青アタッチメント

ユンボでの作業は、「整地・運搬・積込みおよび掘削用」と「解体用」の2種類に分けられ、作業の目的やアタッチメントが変われば受講すべき内容も変わります。

<整地・運搬・積込みおよび掘削作業>

科目名称は「車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習」です。

労働安全衛生法では、整地・運搬・積込み用機械と掘削用機械を運転する際の履修を定めているため、ユンボを使ってこれらの作業を行う場合は必ず受けましょう。取得すると、重量3トン以上の重機で作業を行えます。

一般的に教習時間は、保有する免許や資格別に複数のコースに分かれています。以下は一例です。

【14時間(2日)コース】

講習は、学科9時間と実技5時間です。

大型特殊免許を保有している方、普通から大型までの各自動車免許のどれかを保有し、小型車両系建設機械の運転経験が3か月以上ある方、不整地運搬車運転技能教習を修了している方が対象です。

【18時間(3日)コース】

講習は、学科13時間と実技5時間です。

自動車免許を保有しておらず、小型車両系建設機械の運転経験が6か月以上ある方が対象です。

【38時間(5日)コース】

講習は、学科13時間と実技25時間です。

基礎知識に加えて走行装置や作業装置に関する知識、関係法令、実地の操作方法を学びます。保有資格や運転経験のないすべての方が対象です。

なお、取得費用は教習所によって変動します。自動車免許のように自分のタイミングで受講できないので、講習の日程を確認しておきましょう。

<解体作業>

緑ユンボで穴を掘っている

科目名称は「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」で、労働安全衛生法では解体用機械を運転する際に履修が必要と定めています。

そのため、解体用アタッチメントを使ってユンボで解体作業を行う場合は、受講が必要です。取得すると、重量3トン以上の重機で作業を行えます。

以下のコースは一例です。

【5時間(1日)コース】

講習は、学科3時間と実技2時間です。

車両系建設機械(整地等)運転技能講習を修了している方などが対象です。なお、受講費用は教習所によって異なります。

<吊り作業>

一部のユンボは、専用の金具で吊り上げ作業を行えます。ただし、作業を行う際には、移動式クレーン運転士免許と玉掛け技能講習修了証が必要です。

【クレーン業務】

荷重5トン以上:移動式クレーン運転士免許

1トン以上5トン未満:小型移動式クレーン運転資格

1トン未満:移動式クレーン特別教育

【玉掛け業務】

荷重1トン以上:玉掛け技能講習

0.5トン以上1トン未満:玉掛け特別教育

■ユンボの資格取得に利用できる支援制度

木のこけしとコインユンボの資格を取得する際は、受講料の負担を減らせる制度があります。

・教育給付金制度

あくまで個人が対象ですが、国の指定を受けた講座を修了した後、受講料の40%(上限20万円)を受給できる制度です。

講座にはユンボの資格をはじめ、移動式クレーン運転士免許や玉掛け技能講習なども含まれます。なお、受給するには、在職者と離職者のそれぞれに条件があります。申請する場合は、受講を修了した翌日から1か月以内に、ハローワークへ必要書類を提出しましょう。

・建設事業主等に対する助成金

建設事業主などが対象で、従業員の技術向上や維持を図り、技能実習や特別教育などを受講させた場合に、経費の一部が助成される制度です。

コースは複数あり、ユンボの資格は「建設労働者技能実習コース」に該当します。なお、受給するには、資本金額や従業員数、雇用保険の加入状況など、一定の条件が設けられています。申請する場合は、受講を修了した翌日から2か月以内に、労働局へ必要書類を提出してください。

・ユンボの資格は何歳から取得できる?

「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」と「車両系建設機械運転技能講習」は、満18歳以上でなければ受講資格がありません。

・講習時間を短縮する方法はある?

中型自動車免許や大型自動車免許、大型特殊免許などを取得している場合、大幅に講習時間を短縮できる場合があります。すでに取得している方は、受講前に教習所へ詳細を確認してみましょう。

また、「車両系建設機械運転技能講習」の資格を取得する場合に、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を修了してから3か月以内である場合は、一部の講習が免除されることもあります。

・ユンボの資格を取得するメリット

ユンボの資格を取得した場合、収入が増える可能性があります。運送業の場合だと、事業者側はトラックドライバーとユンボの操作を同一人物に依頼できるようになり、人件費などを削減できるため、手当として収入が増えることがあるでしょう。

また、個人事業主として独立する場合、トラックを所有していれば、ユンボを操作して自分で荷物の積み下ろしができるほか、重機回送も行えます。転職活動においても、ユンボの操作を行えることで優遇される可能性があります。

・もし、無免許・無資格で運転したら・・・?

無免許でユンボを運転した場合、道路交通法違反で点数が加算されるか、もしくは罰金が課せられます。無資格でユンボを操作し、万が一事故を起こした場合は現場の代理人が逮捕されることになります。

ユンボに乗る為には、かならず免許と資格を取得し、運転する際に携帯するようにしましょう。

■ユンボの操作方法

次に、ユンボの操作方法と操作のコツをお伝えします。

・ユンボの基本操作

ユンボの操作はとてもシンプルです。ユンボ自体の前進、後退、回転は、操縦者の足元から伸びているレバーを使って行います。レバーを前に倒すと前進し、後ろへ倒すと後退します。右のレバーで右のクローラーが動き、左のレバーで左のクローラーが動くので、ユンボを回転させるには片方のレバーのみを動かすようにします。

ブーム、アーム、バケットの操作は、操縦席の両サイドにあるジョイスティックタイプのレバーで行います。右側のレバーを前後に動かすことでブームを起こしたり、倒したりすることができます。左に倒してバケットに土を入れ、右に倒して土を捨てます。

左側にあるレバーは機体の上部を回転させるためのもので、左右に倒すことで回転させます。また、前後に動かしてアームを上下に動かすことができます。

・操作のコツ

ユンボのクローラーは横方向より縦方向の方が、車体が安定するので作業がしやすくなります。

また、シリンダが押し出す力は、アームシリンダとアーム、バケットシリンダとリンクがそれぞれ直角になった時に最大となり、より作業を効率的に行うことができます。

ユンボの運転席は360度回転します。もし運転席を180度回転した状態でレバーを前へ倒すと、クローラーは前方へ回転するので、運転手から見て後ろへ進むことになります。勘違いをして運転しないように、排土板を目印にして前後を間違えないようにしましょう。

ユンボの操作は、レバーを直感で動かしたい方向へ動かせば良いという簡単なものですが、繊細な動きをするには練習が必要です。

ユンボの操作を覚えられるアプリがあるので、それを利用するのもいいですね。

■ユンボを操作する時の注意点

最後に、ユンボを扱う上で注意すべきことをシーン別に解説いたします。

・事前点検を行う

①現場の安全確認
まずは現場の確認を事前に行いましょう。危険な場所は立入禁止にする、誘導者を配置するなど安全に作業できるよう処置をします。

②火災を防止する点検
エンジンの周辺に枯れ葉や木片などの可燃物がないか、燃料漏れが起こっていないかなど火災防止の点検を行います。

③運転席の点検
運転席のフロアーやレバー、手すりなどに泥や油、雪が付着していると滑ってしまう可能性があり危険です。必ず事前に拭き取りましょう。

④始業点検
周囲の点検が終わったら、始業点検を行い異常がないかを確認します。定期検査を行っていない建設機械は使用することができないため、注意が必要です。

・エンジン始動時

①労働安全衛生規則を遵守する
労働安全衛生規則とは、厚生労働省が定めた労働の安全衛生についての規則で、ユンボを操作する際にもいくつかの規則を遵守する必要があります。

②屋内では換気する
屋内でエンジンを始動する場合には、窓や出入り口を開放し換気します。不要な空ブカシはせず、作業時以外はエンジンをかけたままにしておかないよう注意しましょう。

③視界を確保する
キャビンガラス、前照灯は視界を良好にするため表面の汚れを落としましょう。作業状況に応じて、前照灯や作業灯が装着されているか、正常に点灯するかを確認します。

④シートベルトを締める
転倒時に運転者を保護する構造になっているユンボには、ヘッドガードとシートベルトが装着されています。運転する時には、腰骨の低い位置で確実にシートベルトを締め、腹部では締めないように注意しましょう。万が一事故が起こった場合にはシートベルトの交換を行います。

⑤運転席を調整する
誤作動や疲労を防ぐためにも運転席を正しく調整しましょう。背もたれに背をしっかりと付け、操作レバーやペダルを問題なく操作できるようにします。

・作業現場での注意点

①合図をしてエンジン始動
しっかり一つ一つの動作確認をしてからエンジンを始動させましょう。乗降する時には周囲を確認し、エンジンを始動させるときにはホーンを鳴らして警告します。
運転者以外は乗らず、バケット・作業装置上を含めて運転席以外には乗ってはいけません。

②エンジン始動後点検を行う
エンジンを始動したら車両をすぐに動かさず、周囲を確認しましょう。

③ブレードの向きを確認してから発進する
ブレードの位置を確認してから走行レバーを操作しましょう。

④旋回・後進する場合は人がいないことを確認してから
見通しが悪く危険な現場では、誘導者を配置し指示に従いながら走行するようにします。
進行方向や旋回する半径に人が入らないよう十分注意して、作動させる前にはホーンや合図で警告するようにしましょう。

⑤走行時の注意点
作業機を折りたたんで地面から40~50cmほど浮かせた状態が正しい走行姿勢です。走行中や進路変更の際には急激な操作はしないよう注意します。障害物はできるだけ乗り越えず、避けようのない場合は作業機をできるだけ地上近くで保ち、低速で走行します。

以上の事を踏まえた上で、十分注意しながら安全にユンボを操作しましょう。

■まとめ

今回はユンボを運転するための知識をまとめてみました。ぜひこの記事を参考にして、幅広く活用できるようユンボを運転できるようになってくださいね。

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