冷凍車が冷えない!原因や対策方法は?

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冷凍車

生鮮食品や精密機器の運送に欠かせない冷凍車。冷えにくいと感じたことはありませんか?冷凍車が冷えないと運搬する商品を傷めてしまうかもしれません。冷凍車が冷えにくくなる前に対策を取りましょう。

今回は冷凍車が冷えない理由や対策などをご紹介いたします。

■冷凍車が冷えにくい原因とは?

まずは故障以外の原因で冷凍車が冷えにくくなる原因を2つご紹介します。

・荷物を積みすぎている

冷凍車に荷物を積みすぎると冷気が循環せず冷えてくれません。冷凍庫の冷風口が荷物で塞がれていないか確認をしましょう。また、一度に運ぶ荷物の量を調整することも検討してみてください。

・設定温度が低すぎる

なかなか冷えないからといって設定温度を下げ過ぎていませんか?

新しいタイプの冷凍車であれば「自動霜取り機」が搭載されていますが、古い場合はついていません。設定温度が低すぎるとどんどん霜が溜まってしまい、冷風口を塞いでしまうことがあります。

冷風口の確認と、設定温度の見直しを行いましょう。

■冷凍車の点検で確認しておきたいところは?

冷凍車 車検

冷凍車が冷えない原因を取り除くためにはしっかり点検やメンテナンスを行うことが大切です。ここでは特に気を付けたい場所をご紹介します。

・コンプレッサー

コンプレッサーは期待の冷媒を循環させる役割をもつ装置です。

コンプレッサーは冷凍車のエンジン駆動力を使って作動するため、冷凍庫を冷やした状態にしておくには常にエンジンをかけておかねばなりません。

なかでも、コンプレッサーに起こる不具合で特に多いのが、コンプレッサーベルトの緩みです。指で軽く押してベルトが緩んでいないかを確認してください。

・ドレインホース

冷凍車にはゴム製のホースがついていますが、これは主に冷凍車の庫内を掃除する目的で取り付けられています。

このドレインホースが劣化していると、庫内の掃除がうまくできなくなってしまうだけでなく、庫内の冷気が逃げる原因にもなります。ドレインホースが傷んでいないかしっかりチェックしましょう。

シャワーホース

また、ホースにはごみが溜まりやすいので、定期的に水洗いをしましょう。

放っておくと不衛生なだけでなく、庫内に水が流れ込んで温度設定に影響を及ぼす恐れもあります。特に塩分や油分を含む荷物を運ぶ機会が多い場合は、こまめに洗浄してください。

・冷媒ガス量の点検

機械式の冷凍車では冷媒ガスを使って冷凍庫内を冷やすタイプもあります。

圧縮→凝縮→膨張→蒸発を繰り返すことで冷媒サイクルを作り、冷凍庫内を冷やす仕組みになっています。冷媒ガス量が適正でなければ、冷媒サイクルをうまく作ることができなくなり、冷凍庫が冷えなくなってしまいます。

点検方法は、冷却装置を10分ほど稼働させ、サイトグラスを確認します。透明であれば適量ですが、細かい気泡や霧状のものが白く流れて見えるようであれば、冷媒ガスが不足またはない状態です。

・コンデンサの状態

コンデンサはコンプレッサーから送られた高圧・高温のガスを外気で冷やして液化し、膨張弁に送る仕組みを持っています。コンデンサは放っておくと目詰まりを起こし、負荷が大きくかかってしまいます。定期的に洗い、目詰まりを起こさないようにしましょう。

コンデンサの洗浄は、難しくありません。

冷凍装置を稼働させ、コンデンサモーターが回っていることを確認したら、ホースを使って水を勢いよくかけます。ホースを上から下に向かってジグザグと細かく動かし、水圧で汚れを洗い流すイメージです。散水中は、アルミフィンを潰さないよう注意してください。

・パッキンやコーキングなどの状態

パッキンが傷むと、隙間から冷気が逃げてしまいます。冷凍車があまり冷えないと感じたら、早めに新品と交換しましょう。

また、コーキングの剥がれは断熱効果を低下させ、冷凍車が冷えない原因の一つです。

テープを貼って応急処置をする方法もありますが、そのままの状態で使用し続けると、トラブルに発展する恐れがあるので、すぐに修理を依頼しましょう。

■冷凍車を使う際のポイント

冷凍車

最後に冷凍車をうまく使う方法を4つご紹介します。

・荷物を積む前に冷やしておく

当たり前のことと思う方もおられるかもしれませんが、冷凍庫内は荷物を積む前に冷やしておきましょう。

荷物を積むと冷凍庫内の温度が上昇するので、最初は少し温度を低めに設定しておくことをおすすめします。

・荷物は隙間を開けて積む

冷凍庫が冷えない原因は荷物の積みすぎだけでなく、積み方にもあります。

荷物同士がぴったりくっついている状態では全ての荷物を均等に冷やすことができません。荷物の間隔をあけ、冷気が通りやすくしておくことが冷えないときの対策になります。

・週に1度はメンテナンスをする

冷凍車を普段あまり使っていない場合でも、週に1度はメンテナンスを行うようにしましょう。

冷凍庫内を洗って乾燥させるだけでなく、コード類や電気系統に異常がないかを確認してください。メンテナンスを行うことで冷えないだけでなく、他の異常にも気が付きやすくなります。

・シーズンイン点検を行う

気温の高い夏場によく活躍する冷凍車ですが、外気温が上昇する前に「シーズンイン点検」を行いましょう。

普段、点検やメンテナンスを行っているから大丈夫だと思っていても、いざ使うときに何らかのトラブルが発生することもあります。少しでも早い段階で対処できるよう、本格的に冷凍車が活躍するシーズンになる前に点検を行うことが大切です。

冷凍車の冷却装置は、3か月に1度の簡易点検に加えて、サブエンジン搭載車の場合は年に1度の定期点検が義務付けられています。

簡易点検は、振動や異音、オイルのにじみ、破損、サビ、エラー表示など、目視による外観の点検がメインです。一方、定期点検は資格保有者しか行えないので、専門業者に依頼しましょう。

過去には、冷凍車の庫内が十分に冷えない状態で配送をした結果、食中毒や品質の低下を招き、顧客からの信頼を失ったというトラブルも発生しています。

特に夏場は温度管理が重要になるシーズンです。荷物の鮮度を保つためにも、冷却装置は念入りに点検しておきましょう。

・積み下ろしの時間を短くする

要冷凍シール添付の箱とおもちゃのトラック

荷降ろしのためにドアを長時間開けていると、庫内の温度上昇につながります。

効率よく荷物を降ろせるよう、積み込みの仕方を配慮したりカーテンを設置したり、工夫をして冷気の逃げや外気の侵入を防ぎましょう。

さらに冷凍車を停車させる際は、直射日光が当たりにくい日陰を選ぶことも大切です。

冷凍車が冷えないときは、落ち着いて荷物の積み方や冷風口の状態を確認しましょう。

もし異常が見られないようであれば、速やかに点検することで被害を抑えることができます。大切な荷物と冷凍車のためにも点検やメンテナンスは必ず行うようにしてくださいね。

■冷えない冷凍車…もしかして買い替え時期?

清掃や作業の改善をしても冷凍車が思うように冷えない場合は、買い替えを検討する時期かもしれません。

・冷凍車の寿命

冷凍車の寿命は、耐用年数を目安に考えましょう。

通常のトラックとは構造が異なることから、耐用年数を過ぎて使用するとトラブルを招く恐れがあるためです。

冷凍車の耐用年数は、新車の場合で12年、中古車の場合は12年から使用した年数を引いた数字に0.8(耐用年数の20%)をかけて算出してください。

・冷凍車の修理費用の内訳

場合によっては、買い替えずに修理を依頼してみるのもよいかもしれません。

冷凍車の修理費用は業者によって変動しますが、費用の内訳はおおむね以下の通りです。

  • 出張費
  • 診断費
  • 工賃
  • 部品材料費

夜間や緊急の場合は、上記に時間外料金や緊急対応費が加わるケースもあります。

なお、Vベルトやドレインホースなどは消耗品のため、使用頻度や年数に応じて定期的に交換してください。

・冷凍車を買い替えるなら新車?中古車?

冷凍車は冷凍装置を搭載している分、導入コストが高めです。

そのため、費用を抑えたいなら、新車で購入するよりも状態のよい中古車を選ぶのがおすすめです。

なお、中古の冷凍車に買い替える際は、車両本体の状態に加えて冷却システムの種類や荷室の状態を確認したうえで選びましょう。

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