移動式クレーンの種類はこんなに多い!それぞれの特徴をご紹介

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幹に乗ったおもちゃクレーン3台

移動式クレーンとは、クレーン本体を自由に移動させられるクレーンです。さまざまなシーンで活躍する移動式クレーンには、見た目や構造が異なる多くの種類が存在します。

今回は移動式クレーンの種類について、運転に必要な資格と併せてご紹介いたします。

■移動式クレーンにはどんな種類がある?

移動式クレーンは、「動力によって荷重0.5トン以上の荷物をつり上げたり水平運搬させたりできる装置。使用する場所を移動できるもの」と定義されています。

移動式クレーンには多くの種類があり、さまざまなシーンで用途に合わせて使い分けられています。

・トラッククレーン

<トラッククレーン>

走行専用の運転席とクレーンの操作席を別に設けた形状が特徴です。巻き上げや巻き下げ、ジブ(上部旋回体の一端を支点とする腕)の起伏、伸縮、旋回など機動性に優れており、資材の運搬や組み立て、荷揚げ、荷下ろしなどのシーンで使用されています。汎用性の高さが魅力で、工事現場や建設現場、災害現場などで活躍する移動式クレーンです。

小型から大型まで幅広く、車両の大きさによって取得すべき運転免許が異なります。

<車両積載型トラッククレーン>

トラックの運転席と荷台の中間にクレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。クレーンの操作はクレーン装置の側面にあるレバーを動かして行いますが、安全性を考慮したリモコン式や無線操縦式のタイプもあります。

<レッカー形トラッククレーン>

トラックのシャーシに補強を施し、クレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。事故車両の運搬や救難をメインに、建物内において設備の取り付け工事などでも使用されています。そのため、他の移動式クレーンよりもジブが短く、アウトリガーを装備されているのも特徴です。クレーン装置やアウトリガーのほか、ウインチやけん引用のピントルフックも装備されています。

・ホイールクレーン

<ホイールクレーン>

タイヤがついた車軸で台車を支え、その上にクレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。1つの運転席で走行とクレーン操作の両方を行えます。4輪タイプと3輪タイプ(前方に2輪、後方に1輪)があり、フォークリフトのような動きができるため、狭い場所での機動性に優れているのが特徴です。

<ラフテレーンクレーン>

ホイールクレーンと同様に、1つの運転席で走行と操作の両方を行えます。前輪と後輪ともに操向が可能で狭い場所での機動性に優れており、不整地や緩い地盤でも走行できるのが特徴です。

・クローラクレーン

キャタピラーの上に上部旋回体と運転室を搭載した形状が特徴で、工事現場や建設現場でよく見かけるキャタピラー付きの移動式クレーンです。キャタピラーの接地面積はタイヤよりも広いので、不整地や緩い地盤でも操作の安定性に優れている反面、走る速度は遅めです。

また、公道は自走できないため、トラックやトレーラーに載せて移動します。

・鉄道クレーン

鉄道レールを走行できる車輪を搭載した台車の上に、クレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。現在はトラッククレーンの普及に伴い、見かけることが少なくなりましたが、主に鉄道の保線や荷役作業、救援作業、橋梁(きょうりょう)の架設工事などで使用されていました。

・浮きクレーン

浮力のある長方形の台船にクレーン装置が架装された移動式クレーンで、自航式と非自航式の2種類があります。ジブの起伏や旋回も可動式と固定式に分かれ、河川や湾岸、海上工事、難破船の引き揚げなどに使用されています。

■移動式クレーンの運転に必要な資格

青空とクレーン2台

Yellow iron crane machine with blue sky, on the building site area in the city.

・つり上げ荷重によって異なる!

移動式クレーンの操作には資格が必要です。つり上げ荷重によって3つに分けられています。

<つり上げ荷重1トン未満:移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育>

9時間の学科と4時間の実技を受講することで、該当する移動式クレーンの操作が可能です。日本クレーン協会のほか、特定の教習所で受講できます。

<つり上げ荷重1トン以上5トン未満:小型移動式クレーン運転技能講習>

13時間の学科と7時間の実技の受講により、該当する移動式クレーンの操作が可能です。関連する資格をすでに取得している方は、一部の講習が免除されます。免除を申請する場合は、修了書のコピーや証明書などを用意しましょう。労働技能講習協会のほか、各地の教習所で受講できます。

<つり上げ荷重5トン以上:移動式クレーン運転免許>

労働安全衛生法で定められた国家資格です。取得すると、すべての移動式クレーンが操作できます。最初に教習所で移動式クレーンの実技運転講習を受講した後、実技検定に合格すれば、安全衛生センターで学科試験を受ける流れが一般的です。

移動式クレーンの実技運転講習は、基本運転4時間、応用運転4時間、合図の作業1時間の計9時間ですが、基本運転と応用運転は1日の受講時間数が決まっているため、1週間程度かかると考えておきましょう。

・セットで取得しておきたい資格

工事現場で鉄筋を運ぶクレーン

precast concrete beam installed at construction site by mobile crane ; civil engineering background

<玉掛け技能講習>

つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンで作業を行う際、玉掛け技能講習の資格が必須です。講習は計19時間ありますが、関連する資格をすでに取得しているまたは経験がある場合は、受講内容の一部が免除されます。

玉掛けに必要な知識や技術を習得していないと、現場での大事故につながる恐れがあります。移動式クレーンの資格取得を希望する方は玉掛技能講習も併せて受講しましょう。

なお、つり下げ荷重1トン未満の移動式クレーンで作業を行う際は「玉掛け特別教育(計9時間)」の受講が必須です。

<自動車運転免許>

移動式クレーンの資格や免許は、クレーン装置を操作するための免許です。そのため、移動式クレーンで公道を走る際は、クレーンの免許とは別に自動車運転免許が必要です。運転する車両の大きさによって取得すべき免許が異なるので、必要に応じた自動車運転免許を取得しましょう。

移動式クレーンが操作できると、活躍できるフィールドが広がります。資格や免許の取得を検討されてみてはどうでしょうか。

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