荷台より大きな荷物を運んでいるトラックを見かけたことはありませんか。
トラックの荷台に積む荷物は重さ以外に大きさにも制限があります。
荷台より大きな荷物を運ぶときの対処法や車両のサイズ別に平ボディの荷台の大きさをご紹介いたします。
■代表的なトラックの荷台とその特徴
代表的な6タイプの荷台の形とその特徴を紹介します。
・平ボディ
平ボディとは、名前の通り荷台が平らなので、荷物落下を防止するアオリが荷台の四方に付いています。
特徴としては、荷物の積み下ろし作業の効率がとても良い反面、風雨や直射日光の影響を受けやすいというデメリットもあります。
・クレーン架装
クレーンタイプは、キャブと荷台の間にクレーンが搭載されており、荷物の積み下ろし作業をそのクレーンで行えるのが特徴です。
・ダンプ
ダンプは、荷台に様々な荷物を積むことができて、荷台を傾けて積み荷を流し落とせる機械装置が付いているのが特徴です。
・アルミバン
アルミバンは、車体の後部にアルミ製の丈夫な箱型の荷台を装備しています。
荷室が密閉可能なため、雨風や直射日光の影響を受けないのが特徴です。
・ウィング
ウィングとは、アルミバンの荷室の両側面が開口するタイプのことをいいます。
両側面から荷物が積み下ろせるので効率的に作業が進みます。
・冷凍/冷蔵車
冷凍/冷蔵車とは、断熱材と冷却装置を架装したアルミバンの箱型荷室を荷台に搭載しています。食品を冷凍・冷蔵したまま運べることから飲食業界を支える重要な存在です。
■トラックの荷台の寸法(平ボディ参考)
使用頻度が高い平ボディの荷台の平均サイズを車両の大きさ別に紹介します。
・大型(10トン)トラックの荷台平均寸法
荷台の長さ 9,000mm前後
荷台の幅 2,400mm前後
荷台の高さ 450mm 前後
・中型(4トン)トラックの荷台平均寸法
荷台の長さ 6,200mm前後
荷台の幅 2,130mm前後
荷台の高さ 400mm前後
・小型(2トン)トラック荷台平均寸法
荷台の長さ 3,150mm前後
荷台の幅 1.800mm前後
荷台の高さ 220mm前後
小型・中型は用途によって「ショートボディ」「標準ボディ」「ロングボディ」「ワイドボディ」「ワイドロングボディ」「スーパーロングボディ」など規格が豊富です。(各タイプの詳細な寸法はメーカーにより異なります)
■トラックの荷台の車種別寸法
トラックの各大きさの特徴や車種別に荷台の寸法を紹介します。
・大型(10トン)トラックの車種別寸法
中~長距離の運送で活躍する大型トラックは、家具や大型家電、土木・建築資材など大きくて重量がある荷物の運搬に使われています。
<車種別寸法>
メーカー 車種 長さ 幅 高さ
日野 プロフィア 9,670mm 2,490mm 267mm
三菱ふそう スーパーグレート(ショートキャブ) 10,030mm 2,340mm 450mm
スーパーグレート(フルキャブ) 9,550mm 2,340mm 450mm
スーパーグレート(スーパーフルキャブ) 9,600mm 2,340mm 450mm
UDトラックス クオン 9,500mm 2,490mm 450mm
いすゞ ギガ 5,100mm 2,490mm 500mm
・中型(4トン)トラックの車種別寸法
中型トラックは、家電や雑貨、食料品などの運搬、また引っ越しで使われることが多いトラックです。
<車種別寸法>
メーカー 車種 長さ 幅 高さ
日野 レンジャー(標準キャブ) 7,040mm 2,360mm 390mm
三菱ふそう ファイター(フルキャブ) 6,200mm 2,120mm 400mm
マツダ タイタン(標準キャブ) 4,355mm 1,790mm 380mm
UDトラックス コンドル 6,200mm 2,120mm 400mm
いすゞ フォワード(フルキャブ) 6,200mm 2,150mm 400mm
・小型(2トン)トラックの車種別寸法
小口配送に向く小型トラックは、小包など地域の配送でよく使われています。
<車種別寸法>
メーカー 車種 長さ 幅 高さ
日野 デュトロ(標準ボディ) 3,115mm 1,695mm 380mm
三菱ふそう キャンター(標準ボディ) 3,120mm 1,615mm 380mm
トヨタ ダイナ(標準ボディ) 2,850mm 1,600mm 380mm
マツダ タイタン(スタンダード) 3,120mm 1,620mm 380mm
いすゞ エルフ(標準ボディ) 3,120mm 1,620mm 380mm
・平ボディトラックのおすすめメーカーは?
平ボディのトラックは、国内トラックメーカー4社、ほぼすべての車種で製造されています。パワーを求めるなら、日野もしくはUDトラックス、安定走行を重視するなら、いすゞと三菱ふそうがおすすめです。環境面を重視するなら、燃料に天然圧縮ガスを使用するいすゞのCNG車を選ぶのもよいでしょう。
■トラックの荷台から荷物がはみ出すときの対処法
輸送の際、荷台から荷物がはみ出ることもあります。
荷物がはみ出る際に必要となる申請や、はみ出した荷物にすべきことを紹介します。
・トラックの荷台に乗せることができる荷物の大きさ
トラックの荷台に乗せることができる荷物に大きさは、道路交通法により次のように定められています。
荷物の幅 自動車の幅内
荷物の長さ 荷台に荷物を積んだ状態の全長が1.1倍以内
荷物の高さ 全高3.8mから積載する場所の高さを引いたもの
トラックの荷台に対して1割程度ははみ出しても問題ないということが分かります。
・荷台から荷物がはみ出すときは申請が必要
はみ出しが可能な範囲を超える荷物を運送するときは、出発する地域を管轄する警察署の交通課に申請書類を提出し、警察署長の許可を得る必要があります。
〈警察署に申請する際の条件〉
荷物の幅 荷物と車両の全幅が3.5m以下
(車両の幅に1.0mを加えたもの以下で、左右がそれぞれ0.5m以下のはみ出しであること。)
荷物の長さ 荷物と車両の全長が16m以下
荷物の高さ 地面からの全高4.3m以下
申請書の他にも運行経路図や積載方法の概略図などが必要になります。
・荷台から荷物がはみ出るときの対処法
申請許可が下りた後、はみ出る荷物を運搬する際は荷物の後方部分に赤い布を付けなければなりません。赤い布のサイズは四方30cm以上であることと決まっています。
はみ出した荷物の対処法をしっかり覚えて、違反しないように注意しましょう。
■許可なくはみ出しの制限を超えたら…
許可なくはみ出し制限を超えた場合は、ドライバー、荷主、事業者への罰則があります。
・違反した場合の罰則
トラックのはみ出し制限を超えた場合や、道路管理者の許可を得ていない場合、また許可証を携帯していなかった場合は、道路法違反で100万円以下の罰金が科されます。罰金に加えて、免許証も1点加点されます。
・荷主や事業者はどうなる?
過積載が認められる場合には、警察署から荷主に対して再発防止命令が出されます。再発防止命令に違反した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
事業者には運行管理者の資格取り消しや、事業許可の取り消し処分が行われることがあり、懲役刑や罰金刑の可能性も考えられます。
■トラックの荷台に人を乗せてもいい?
原則として、荷台に人が乗ることは違法行為です。
・荷台に人を乗せることはできない
トラックの荷台は人が乗ることを想定して作られていないため、人を乗せることは禁止されています。ただし、荷台に人が乗ることを許可されるケースがあります。
・許可されるケースと注意すべきこと
道路交通法第55条第1項(乗車または積載の方法)で、荷物を看守するための最小限の人員であれば荷台に乗車できると規定されています。ただし、積荷がなければ荷台に乗車しないこと、必要最低限の人数にとどめることを忘れないでください。
■まとめ
トラックの大きさや車種などメーカーによって、荷台寸法や積載量は異なります。自分の業務に適したトラックをしっかり選ぶことが重要です。