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「ユンボ」と「バックホー」の違いは?必要な資格や免許も違うの?

ユンボとバックホー「同じような見た目をしているけど、ユンボとバックホーはなにが違うの?」と疑問に思われる方は少なくありません。呼び方は全く異なるものの、ユンボとバックホーの違いは一体どこにあるのでしょうか?

今回はユンボとバックホーの違いについて、操縦に必要な資格と併せてご紹介いたします。

■「ユンボ」と「バックホー」はなにが違う?

・ユンボとは

ユンボはフランスにあるシカム社(現在のユンボ社)で取り扱われていた建設機械の商品名で、油圧ショベルを指します。

1950年代の日本では重機類の国内製造がされておらず、海外から輸入した製品を使用していました。1960年代に入り、日本のメーカーがフランスから技術提供を受けて製造した油圧ショベルを「ユンボ」の名前で販売したことから、国内でもユンボの呼び名で普及しました。

現在、ユンボは建設機械レンタル会社の登録商標です。

ユンボは大小さまざまな大きさがあり、土木建築や解体をはじめ、多くの現場で活躍しています。

・バックホーとは

同じく多くの現場で使用される重機に「バックホー」があります。バックホーは「クワが後ろを向いている」という見た目が呼び名の原点で、重機の先端に取り付けられているショベルが操作席のほうを向くように設計されているのが特徴です。

主に地面の掘削などで使用されますが、アタッチメントを取り換えれば解体や移動、選別など幅広い場面で活躍します。

・実は呼び方が異なるだけ

ユンボとバックホーは使用される現場、作業、見た目など共通する部分がたくさんあります。実は、呼び方が違うだけでどちらも同じ重機です。

さらにユンボとバックホーは「パワーショベル」「ショベルカー」「ドラグショベル」など、使用する現場や人によって呼び方に違いがあります。

ややこしく感じるかもしれませんが、すべて同じ重機と認識しておけば間違いはないでしょう。

■ユンボとバックホーの操縦に必要な資格

ユンボを運転する男

・必要な資格は重量によって異なる

ユンボとバックホーは、操縦する車両の重量によって取得すべき資格が異なります。

<3t未満>

車両総重量3t未満のユンボやバックホーを操縦する場合は、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の受講が必須です。18歳以上であれば誰でも受講できます。

指定教習所で実施されている講習を受けた後、簡単な学科試験をクリアすることで操縦が可能です。実技講習も行われますが、実技試験はありません。

<3t以上>

車両総重量3t以上のユンボやバックホーを操縦する場合は、「車両系建設機械運転技能講習」を受講し、資格取得試験をクリアする必要があります。

労働安全衛生法により定められた国家資格で、学科試験と実技試験の両方が行われます。

学科よりも実技試験のほうが難しく、走行と装置の操作をどちらも完璧にマスターしなくてはなりません。

・資格取得にかかる費用はどれくらい?

「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の費用は、テキスト代を含んで2万円程度かかります。教習時間は学科7時間、実技6時間の計13時間です。

一方、「車両系建設機械運転技能講習」の費用は、テキスト代を含めて10万円程度かかります。教習時間は学科13時間、実技25時間の計38時間です。

なお、小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育の取得後、3か月以内に車両系建設機械運転技能講習を受講すると、講習の一部が免除されます。

・公道を走行するには運転免許が必要

夕方の工事現場でユンボ

ユンボやバックホーで公道を走行する際は、運転免許が必要です。免許種別は車両総重量と最大積載量によって区分されているので、該当する自動車免許を取得しましょう。

また、ユンボやバックホーには「クローラ式」と「ホイール式」の2種類があります。ホイール式はタイヤで走行しますが、キャタピラーであるクローラ式は公道を走行できないので注意が必要です。

バックホーの操作についてこちらでご紹介します。操作のコツも合わせてご紹介しますので、まだバックホーの操作に慣れていない方の参考になれば幸いです。

・基本操作

バックホーはシンプルな操作方法なので、覚えれば簡単に操作することができます。

バックホーはキャタピラで動きます。このキャタピラを動かすのは足元から伸びる2本のレバー、機体によっては足元のペダルです。

オペレーターの両サイドにはジョイントスティックのレバーがあり、このレバーを操作することでブームやアーム、ショベルを動かします。

・操作のコツ

バックホーは複雑な操作方法ではありません。よって、回数をこなして操作に慣れるのが一番の上達法になります。最近ではゲームやアプリでバックホーの操作を体験できるので、それらを活用してイメージトレーニングをするというのも有効な手段です。

■代表的なバックホーのメーカー

最後に代表的なバックホーの取り扱いメーカーからおすすめバックホーを4つご紹介させていただきます。

・コマツ

コマツのPC40MR-3は解体現場で活躍するバックホーです。排土板をつけることにより泥落ち機能が優秀で、作業をスムーズに行うことができます。衝撃吸収と耐久性に優れており、転倒時にはオペレーターの安全が確保される安全設計なので、安心して作業をすることができます!

・日立

日立のZX30U-5Bは利便性が人気です。マルチレバーが4パターンに対応しており、神綱方式・日立方式・JIS方式など様々な方式にすぐに切り替えることができます。この利便性により、様々な現場で多岐に渡って活躍することが可能になりました。

・ヤンマー

旋回力が高く、細部の瓦礫をすくうことができるのがヤンマーのVIO20です。この車両はミニバックホーで他の車両に比べると小さなボディですが、その作業能力とバランス性能は標準機にも匹敵します。後方小旋回で狭い現場でも活躍してくれます。

・住友

都市部の現場で人気の高い住友のSH225X-3Bは小回りが抜群です。優れた機動力に加え、強靭なアームとバケットは巨大な岩を砕くこともできるほどのパワーを兼ね備えた、非常にパワフルな車両で、邪魔な岩石があるような現場でも活躍してくれます。

今回はユンボとバックホーの違いや免許取得方法などお伝えしました。

ユンボやバックホーの操縦に必要な資格を取得すれば、あらゆる分野で活躍できる可能性が広がります。将来を見据えてユンボやバックホーの資格取得にぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ダンプに欠かせない「あおり」とは?役割や種類、故障した場合の修理方法

土砂を積む白トラック後ろ

土砂を積む白トラック後ろ

「あおり」はダンプに欠かせない重要な部分です。しかし、劣化や故障が多い部分でもあるため、故障した場合の修理方法やメンテナンス方法を知っておくことも重要です。

今回はダンプのあおりの役割や種類をはじめ、故障した場合の修理方法まで詳しくご紹介いたします。

■ダンプの「あおり」はどの部分?

・ダンプのあおりとは

「あおり」とは、ダンプの荷台部分をぐるりと囲んだ壁のことで、荷物を積み下ろす際に留め具を外して開閉する仕組みです。後方のみに開くタイプと、左右も後方もすべて開くタイプの2種類が存在します。

ダンプに取り付けられているあおりの枚数は、左右と後方の計3枚が一般的ですが、大型ダンプの場合は左右に2~3枚ずつ取り付けられていることもあります。

・あおりの役割

緑トラックおもちゃ後ろ側

ダンプに欠かせない「あおり」には、重要な役割が3つあります。

①荷物の落下を防ぐ

あおりで壁をつくることにより、走行中でも荷物が落下しにくくなります。水分を含んだ土砂など形が定まりにくいものもこぼれ落ちる心配がありません。

②積み下ろしの負担を楽にする

留め具を外してあおりを開くことにより、あおりに傾斜ができます。その傾斜を利用することで荷物を滑らせるように降ろせるため、積み下ろしの負担が軽減できます。

③見た目のカッコよさ

ダンプのあおりにも人気のデザインがあるのをご存じでしょうか。あおりは外観の多くを占めるため、あおりのデザイン性が販売価格を左右することもあるようです。

・あおりの種類

あおりはダンプだけでなく平ボディのトラックなどにも取り付けられており、さまざまな素材が用いられています。種類は大きく「鉄」「ステンレス」「アルミ」「木製」の4つです。

<鉄製のあおり>

頑丈なので、石材や廃材などの重くて硬い荷物を運ぶ際に適しています。一方、サビやすさが弱点となり、食品類や精密機械との相性はよくありません。また、あおり自体が重いため、開閉には力が必要です。

<ステンレス製のあおり>

サビにくいため、海沿いや雨の多い地域、食品類の輸送に適しています。あおりに使われる素材の中で最も高級と言われていますが、傷に弱いのが欠点です。そのため、鉄鋼類や石材などの運送には適していません。

<アルミ製のあおり>

あおりに使われているどの素材よりも軽いので、最大積載量を増やしたいときに大変重宝します。輝きを放つ見た目から、多くのドライバーに人気のあおりです。ただし、ステンレスと同じく傷に弱いため、硬くて重い荷物との相性はよくありません。

<木製のあおり>

濡れても滑りにくく、素材に柔軟性があるため、廃家電やスクラップなどの運送に適しています。木製のあおりは金属製に比べて目にする機会は少ないものの、平ボディのトラックなどで利用されています。

■あおりの劣化や故障に注意!

トラック後ろ部分

Truck or lorry repair shop service garage interior

・あおりが劣化する原因

あおりは塩分や水分によるサビ、荷物の衝突でつく傷、経年などが原因で劣化します。

鉄製のあおりは雨や潮風に弱いため、サビを放っておくとどんどん劣化が進みます。サビの発生はあおりの表面が傷つくことでも起こるので、水に強いステンレスやアルミであっても油断はできません。

また、使用年数が長くなると歪みや緩みが生じることもあります。

・故障した場合の修理方法と費用

修理は自分でも行えますが、あくまで部分的な応急処置として考えましょう。蝶番やナットなど部品を交換する場合は、1,000~5,000円の部品代のみで済みます。

あおり全体の修理を業者へ依頼する場合は、故障した部分以外の修理も必要になる可能性があるため、100,000円ほどかかるケースもあります。業者へ依頼する場合はきちんと見積もりを出してもらうようにしましょう。

・あおりを長持ちさせるポイント

修理費用を抑えるためには日頃のメンテナンスが大切です。あおりを長持ちさせるためのポイントを4つご紹介します。

①前述したように、傷はあおりの劣化を進める原因の一つです。傷がついて塗装が剥がれるとサビが発生してしまうため、荷物の積み下ろしは丁寧に行いましょう。

②ダンプの荷台が汚れたら、その日のうちに洗って汚れを落としましょう。塩分や水分を含んだ汚れはサビの原因になるため、洗い終わった後はしっかりと水分を乾かすことも忘れないでください。

③雨の多い時期や屋根のない駐車場を利用する際は、荷台シートを被せて水分や紫外線からあおりをガードしましょう。

④汚れやサビが気になる部分には防錆スプレーや潤滑スプレーを吹きかけて保護しましょう。塗装が剥がれていたらタッチアップペンなどで修正塗装をするのもおすすめです。

・あおりは交換することもできる

あおりの劣化が激しい場合は交換することも可能です。あおりの交換は板金扱いになるため、業者へ依頼しましょう。

また、あおりの高さを変えて積載量を増やすこともできます。ただし、あおりの交換に伴い外寸や積載量、重量などが変わってしまう場合は、構造変更検査が必要です。

多くの荷物を積むダンプにとってあおりは欠かせません。修理のコストを抑えるためにも、メンテナンスは怠らないようにしましょう。

移動式クレーンの種類はこんなに多い!それぞれの特徴をご紹介

青空とクレーン2台

幹に乗ったおもちゃクレーン3台

移動式クレーンとは、クレーン本体を自由に移動させられるクレーンです。さまざまなシーンで活躍する移動式クレーンには、見た目や構造が異なる多くの種類が存在します。

今回は移動式クレーンの種類について、運転に必要な資格と併せてご紹介いたします。

■移動式クレーンにはどんな種類がある?

移動式クレーンは、「動力によって荷重0.5トン以上の荷物をつり上げたり水平運搬させたりできる装置。使用する場所を移動できるもの」と定義されています。

移動式クレーンには多くの種類があり、さまざまなシーンで用途に合わせて使い分けられています。

・トラッククレーン

<トラッククレーン>

走行専用の運転席とクレーンの操作席を別に設けた形状が特徴です。巻き上げや巻き下げ、ジブ(上部旋回体の一端を支点とする腕)の起伏、伸縮、旋回など機動性に優れており、資材の運搬や組み立て、荷揚げ、荷下ろしなどのシーンで使用されています。汎用性の高さが魅力で、工事現場や建設現場、災害現場などで活躍する移動式クレーンです。

小型から大型まで幅広く、車両の大きさによって取得すべき運転免許が異なります。

<車両積載型トラッククレーン>

トラックの運転席と荷台の中間にクレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。クレーンの操作はクレーン装置の側面にあるレバーを動かして行いますが、安全性を考慮したリモコン式や無線操縦式のタイプもあります。

<レッカー形トラッククレーン>

トラックのシャーシに補強を施し、クレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。事故車両の運搬や救難をメインに、建物内において設備の取り付け工事などでも使用されています。そのため、他の移動式クレーンよりもジブが短く、アウトリガーを装備されているのも特徴です。クレーン装置やアウトリガーのほか、ウインチやけん引用のピントルフックも装備されています。

・ホイールクレーン

<ホイールクレーン>

タイヤがついた車軸で台車を支え、その上にクレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。1つの運転席で走行とクレーン操作の両方を行えます。4輪タイプと3輪タイプ(前方に2輪、後方に1輪)があり、フォークリフトのような動きができるため、狭い場所での機動性に優れているのが特徴です。

<ラフテレーンクレーン>

ホイールクレーンと同様に、1つの運転席で走行と操作の両方を行えます。前輪と後輪ともに操向が可能で狭い場所での機動性に優れており、不整地や緩い地盤でも走行できるのが特徴です。

・クローラクレーン

キャタピラーの上に上部旋回体と運転室を搭載した形状が特徴で、工事現場や建設現場でよく見かけるキャタピラー付きの移動式クレーンです。キャタピラーの接地面積はタイヤよりも広いので、不整地や緩い地盤でも操作の安定性に優れている反面、走る速度は遅めです。

また、公道は自走できないため、トラックやトレーラーに載せて移動します。

・鉄道クレーン

鉄道レールを走行できる車輪を搭載した台車の上に、クレーン装置を架装した形状の移動式クレーンです。現在はトラッククレーンの普及に伴い、見かけることが少なくなりましたが、主に鉄道の保線や荷役作業、救援作業、橋梁(きょうりょう)の架設工事などで使用されていました。

・浮きクレーン

浮力のある長方形の台船にクレーン装置が架装された移動式クレーンで、自航式と非自航式の2種類があります。ジブの起伏や旋回も可動式と固定式に分かれ、河川や湾岸、海上工事、難破船の引き揚げなどに使用されています。

■移動式クレーンの運転に必要な資格

青空とクレーン2台

Yellow iron crane machine with blue sky, on the building site area in the city.

・つり上げ荷重によって異なる!

移動式クレーンの操作には資格が必要です。つり上げ荷重によって3つに分けられています。

<つり上げ荷重1トン未満:移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育>

9時間の学科と4時間の実技を受講することで、該当する移動式クレーンの操作が可能です。日本クレーン協会のほか、特定の教習所で受講できます。

<つり上げ荷重1トン以上5トン未満:小型移動式クレーン運転技能講習>

13時間の学科と7時間の実技の受講により、該当する移動式クレーンの操作が可能です。関連する資格をすでに取得している方は、一部の講習が免除されます。免除を申請する場合は、修了書のコピーや証明書などを用意しましょう。労働技能講習協会のほか、各地の教習所で受講できます。

<つり上げ荷重5トン以上:移動式クレーン運転免許>

労働安全衛生法で定められた国家資格です。取得すると、すべての移動式クレーンが操作できます。最初に教習所で移動式クレーンの実技運転講習を受講した後、実技検定に合格すれば、安全衛生センターで学科試験を受ける流れが一般的です。

移動式クレーンの実技運転講習は、基本運転4時間、応用運転4時間、合図の作業1時間の計9時間ですが、基本運転と応用運転は1日の受講時間数が決まっているため、1週間程度かかると考えておきましょう。

・セットで取得しておきたい資格

工事現場で鉄筋を運ぶクレーン

precast concrete beam installed at construction site by mobile crane ; civil engineering background

<玉掛け技能講習>

つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンで作業を行う際、玉掛け技能講習の資格が必須です。講習は計19時間ありますが、関連する資格をすでに取得しているまたは経験がある場合は、受講内容の一部が免除されます。

玉掛けに必要な知識や技術を習得していないと、現場での大事故につながる恐れがあります。移動式クレーンの資格取得を希望する方は玉掛技能講習も併せて受講しましょう。

なお、つり下げ荷重1トン未満の移動式クレーンで作業を行う際は「玉掛け特別教育(計9時間)」の受講が必須です。

<自動車運転免許>

移動式クレーンの資格や免許は、クレーン装置を操作するための免許です。そのため、移動式クレーンで公道を走る際は、クレーンの免許とは別に自動車運転免許が必要です。運転する車両の大きさによって取得すべき免許が異なるので、必要に応じた自動車運転免許を取得しましょう。

移動式クレーンが操作できると、活躍できるフィールドが広がります。資格や免許の取得を検討されてみてはどうでしょうか。

「トレーラーヘッド」と「トレーラー」の構造や寸法、運転に必要な免許は?

白トレーラーヘッド
白トレーラー後ろ側

Semi truck with white trailer. You can add your content here.

一般的にトレーラーと呼ばれるトラックは、「トレーラーヘッド」と「トレーラー」を連結させて走ります。連結時の全長は法律によって制限されているため、運転する際は注意しましょう。

今回はトレーラーヘッドとトレーラーの構造や寸法、運転に必要な免許をご紹介いたします。

■トレーラーヘッドとトレーラーの構造

・トレーラーヘッドとは

トレーラーヘッドとは、トレーラーと呼ばれる貨物車両をけん引するための車両です。トレーラーだけでは自走できないため、トレーラーヘッドと連結させて荷物を運搬します。

・トレーラーは大きく2種類

トレーラーは日常でもよく見かける「セミトレーラー」と、日本国内ではあまり見かけない「フルトレーラー」の2種類があります。

<セミトレーラー>

セミトレーラーは、トレーラーの一部をトレーラーヘッドに乗せるように連結させる構造です。タイヤはトレーラーの後方のみに装着されているため、連結を解除する際は補助足によって前方を支えます。

<フルトレーラー>

一方フルトレーラーはタイヤが前後に装着されており、トレーラーヘッドの後部と連結させて走行します。フルトレーラーのトレーラーヘッドは大型トラックのような形状をしており、連結させずに単体で荷物を運搬することも可能です。

連結走行中は双方ともにブレーキ操作や方向指示器の点滅など、トレーラーヘッドとトレーラーを連動させて行います。

・トレーラーの寸法は?

連結時の全長は法律によってセミトレーラーが最大18m、フルトレーラーが最大25mと定められています。しかし、現在活躍しているセミトレーラーの寸法は16.5mが一般的です。

■トレーラーの運転に必要な免許

オレンジポロシャツの運転手

・運転免許と牽引(けんいん)免許が必須

セミトレーラーを運転する際は、第一種免許(大型・中型・準中型・普通・大型特殊)に加えて、牽引免許も取得しなくてはなりません。

牽引免許は、「牽引免許」「第二種牽引免許」「牽引小型トレーラー限定免許」の3つに分けられています。

<牽引免許>

車両総重量750kg以上の被牽引車両をけん引する際に必要

<第二種牽引免許>

トレーラーバスなどの旅客車両をけん引する際に必要

<牽引小型トレーラー限定免許>

車両総重量750kg超~2,000kg以下の被牽引車両をけん引する際に必要

・牽引免許の取得条件と費用

牽引免許の取得には以下の受験資格を満たしている必要があります。

<牽引免許取得の受験資格>

年齢:18歳以上

視力:両眼で0.8以上かつ一眼で0.5以上

深視力:三桿法(さんかんほう:奥行視力検査)で3回計測した結果、平均誤差が2cm以下

色彩識別能力検査:赤・青・黄を識別できる

聴力検査:10m離れても90dbの警音器を聞き取れる(補聴器の使用含む)

所持免許:第一種免許(大型・中型・準中型・普通・大型特殊)のどれか、または第二種免許を取得済

第二種牽引免許の受験資格もほぼ同じですが、年齢や所持免許、運転期間などが異なります。

年齢:21歳以上

取得期間:第一種免許の取得から通算で3年以上経過しているまたは他の第二種免許を取得済

所持免許:すでに牽引免許を取得済

■トレーラーヘッド単体を運転する場合

白トレーラーヘッド

・必要なのは運転免許だけ

トレーラーの運転には第一種免許と牽引免許の取得が必要でしたが、トレーラーヘッドのみを運転するのであれば牽引免許は不要です。ただし、該当する区分の第一種免許は必要です。

・普通免許で運転できる?

トレーラーヘッドが小型(高さ2m未満、幅1.7m未満、長さ4.7m、最高時速15km未満)であれば、普通免許でも運転できます。

また、車両総重量750kg以下の被牽引車両をけん引する際も牽引免許は不要です。

とはいえ、運送業などで国内を走行する主なトレーラーは小型以上であることが多く、必然的に中・大型の運転免許と牽引免許を取得することになるでしょう。

トレーラーヘッド単体の運転に牽引免許は不要ですが、トレーラーを運転できると仕事の幅も広がります。トラックの運転や長距離運転が好きな方は、ぜひ牽引免許の取得にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

トラックを運転するならギアチェンジのコツを掴もう!ギアの名称や違いから解説

透明トラックギア

透明トラックギア

MT(マニュアルトランスミッション)は、現在も多くのトラックに採用されています。トラックを運転するならギアチェンジのコツを掴み、効率的な運転や燃費向上に役立てましょう!

今回はトラックのギアの名称と違いをおさらいしたあと、ギアチェンジのコツを詳しく解説いたします。

■トラックのギアの名称と違い

普通車はAT(オートマチックトランスミッション)が普及している中、トラックなどの大型車は今でもMT(マニュアルトランスミッション)が主流です。

・多くのトラックに採用されるMT

トラックは数百kgから数tもの荷物を運搬します。重量は発進、加速、登坂時に影響を及ぼすため、積載量や路面の状態に応じてギアを自分で切り替えられるMTでなければ燃費のよい走行はできません。

またMTはATほど構造が複雑ではないため、故障が少なく、ランニングコストが安く済むのも理由です。

・ギアの名称と違いについて

そもそもギアは歯車を意味する英語で、トランスミッション(変速機)を構成するパーツの一つです。トランスミッションには、クラッチを通じてエンジンの動力を車輪に伝える役割があります。

大小一対の歯車をかみ合わせた状態で小さな歯車を回転させると、大きな歯車は小さな歯車の倍の力で回ります。反対に大きな歯車を回転させると、小さな歯車の回転数は倍になる仕組みです。これを応用したのがトランスミッションです。トラックドライバーは走行状態に合わせてギアチェンジを行います。

ギアは「L」から始まり、エンジンの回転数や速度に合わせて徐々にギア段を上げていきます。

ギアの名称と違いを簡単にご紹介します。

「L:ローギア」

発進時に使用する

「2:セカンドギア」

ローギアで発進したらセカンドギアに切り替える

セカンドギアで徐々にスピードを上げていく

「3:サードギア」

セカンドギアでスピードが出だしたらサードギアに切り替える

時速30kmまで出るため、狭い道などで使用することもある

「4:トップギア」

時速50~60kmまで出せるため、一般道を走行する際のメインギア

停止する際はトップギアの状態でブレーキを踏み、減速に合わせてギアを切り替える

「5:オーバートップギア」

高速道路で使用する

「R:バックギア」

MT車では半クラッチで速度調整を行いながらハンドルを操作する

慣れていないとエンストしてしまうため、運転技術が必要

■ギアチェンジのコツは?

トラックギア部品

・クラッチを調整する

クラッチを調整しておくと、スムーズなギアチェンジが可能です。トラックは普通車に比べてパワーがあるので、クラッチペダルから足を外してもすぐにクラッチがつながってしまいます。定期的に調整しておくことで遊びの間隔が適切になり、発進時に車体がガタガタと揺れるのを防げるでしょう。

・シフトアップは丁寧に行う

シフトアップとは、ギアを1つ上げることです。車体が揺れるのを防ぐためにも、シフトアップは焦らず丁寧に行いましょう。エンジンの回転数が十分に上がったタイミングでシフトアップをすれば、スムーズに加速できます。

・補助ブレーキの活用

トラックのシフトダウンはエンジンブレーキを使わずに行いましょう。ディーゼルエンジンのトラックにはリターダーと呼ばれる補助ブレーキが搭載されているので、うまく活用して少しずつシフトダウンをするのがコツです。

リターダーはエンジンブレーキよりも制動力が高く、また主ブレーキの負担や消耗を減らせます。

■MT以外のトランスミッション

倉庫に駐車するトラック数台

・オートマチックトランスミッション

自動変速装置を搭載することにより、システムが自動的に変速の管理を行います。ドライバーはアクセル、ブレーキ、ハンドル以外に操作をする必要がなく、誰でも簡単に運転できるのがメリットです。

ただし、MTに比べて車両価格や維持費が高いため、長距離を移動するトラックとしてはメリットが少ないかもしれません。

・セミオートマチックトランスミッション

MTとATの機能を併せ持つのがセミオートマチックトランスミッションです。クラッチ操作が不要で、エンジンの回転数から適切なギアを自動で選択してくれます。

ギアチェンジは必要に応じて手動で行えるため、AT車に乗っている感覚で手軽にシフトアップやシフトダウンができるのもメリットです。

車両本体価格や維持費は高めですが、ATよりも燃費がよいため、セミATのトラックを採用する運送会社も増えつつあります。

ギアチェンジやクラッチ操作に慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、練習すればコツを掴めるはずです。スムーズなギアチェンジを習得し、燃費のよい走行を実現しましょう。

知っていますか?輪止めの役割とメリット、正しい選び方や使い方

トラック輪止め

トラック輪止め

 

安全を守るため、全日本トラック協会や交通安全協会も輪止めの使用を推奨しています。周囲の人々はもちろん、自分の命を守るためにも輪止めの正しい選び方や使い方を知っておきましょう。

今回は輪止めの役割とメリットをはじめ、正しい選び方や使い方までご紹介いたします。

■そもそも輪止めってどんなもの?設置は義務なの?

・輪止めとは

トラックを停車させる際に動き出さないよう、タイヤと地面のすき間に挟んで使用する道具が「輪止め」です。車輪止め、車止めなどとも呼ばれています。

・輪止めの役割とメリット

一般的な乗用車が停車や駐車をする場合はパーキングブレーキを使用するため、車が勝手に動き出すことは考えにくいでしょう。しかし、トラックなどの大型車が使用するエアブレーキは制動力が高いものの、時間の経過により効きが甘くなることもあります。

輪止めを設置することでタイヤの回転を阻止できるため、長時間停車する際は輪止めがあると安心です。輪止めには事故を防止するだけでなく、会社全体で輪止めの使用を徹底することにより、ドライバーの安全への意識向上にも役立ちます。

また、会社に対して信頼や安心といったポジティブなイメージを与えられるのもメリットでしょう。

■輪止めの必要性

・設置は義務ではない?

安全や信頼の確保において重要な輪止めですが、法律で設置が義務付けられているわけではありません。ですが、安全のため先ほどの事故事例のように社内規則としての装着を義務付けている運送会社が増えています。

過去には輪止めを設置せず業務を行なっていたため、思いがけない事故が発生した例もあります。義務ではないものの、トラックを運転するドライバーは輪止めの設置を心がけましょう。

・輪止めに関する事故の事例

衝突

平坦な道だからといって過信せず、トラックを駐車させるときは輪止めを使用する癖をつけしましょう。輪止めを使用しなかった際の事故の一例をご紹介いたします。

〈事故内容〉

輪止めを使用せずに駐車していた大型トラックが急に走り出し、数百メートルほど離れた電信柱に衝突して止まった。

〈原因〉

荷物降ろし作業で現場が混み合って順番待ちになるのを避けるため、自らが乗車していたトラックを降りて他のトラックの荷降ろし作業を手伝っていた。降りる際にうっかりしてサイドブレーキを引き忘れていたために起こった。

〈再発防止対策〉

会社の規則として駐車時には必ずサイドブレーキを引き、輪止めの装着を義務化した。

■輪止めの正しい選び方と使い方

輪止め

・輪止めの素材と特徴

輪止めの素材は8種類あります。

① コンクリート製

② 廃棄樹脂プラスチック製

廃棄された樹脂やプラスチックを原料にしているため、最も安価な輪止めです。耐久性に優れており、さまざまな形状があるので、会社だけでなく一般家庭でも使用されています。

③ ゴム製

一般的に普及しているのがゴム製の輪止めです。グリップ力が高く、降雪時でも高い制動力を発揮します。安価で入手しやすいのもメリットです。

④ ポリウレタン製

廃棄樹脂と同様、安価で耐久性に優れた使い勝手のよい輪止めです。サイズが豊富にあるため、運転する車に合わせて選べます。

⑤ 木製

木製の輪止めは古くから使用されており、人気があります。紐でつながった状態の輪止めをタイヤの前後にはめ込んで固定する方法で使用します。

⑥ プラスチック製

形や色の種類が豊富なうえ、軽くて耐久性にも優れているので、多くの現場で使用されている輪止めです。

⑦ 鉄製

鉄製の輪止めは折りたたみ式のものが多く、素材の割に軽い使い勝手のよさがメリットです。ただし、水気のある場所では滑りやすいので、時期や季節によっては他の素材を使用しましょう。

⑧ アルミ製

この中で一番人気の素材はゴム製です。

ゴム製は他の種類に比べて耐久性があり滑りにくく、雪が積もっていても使えるのでシーンに合わせて使い分ける必要がありません。また、低価格なのでコスパにも優れています。

・値段

一般的な輪止めの価格は以下のとおりです。

【輪止め1個売り】  約1500円

【輪止め2個セット】 約3000円

まとめ買いのセットを選ぶと1組分が少し安くなるケースもあります。

・輪止めは呼び方が複数

輪止めには色々な呼び方があります。

〈タイヤストッパー〉

大型車両によく用いられるタイヤストッパーは地面や足元が不安定な工事現場で活躍します。

〈車輪止め〉

簡単に装着できることから、多くのトラックに用いられます。

〈カーストップ〉

カーストップは別名カーストッパーともいい、トラックターミナルや工場などで使用されています。

・輪止めのサイズ

〈大型トラック用の輪止めサイズ〉

標準的なサイズは、長さ240mm、高さ130mm、幅120mm程度です。

〈小型・大型トラック用の輪止めサイズ〉

標準的なサイズは、長さ200mm、高さ120mm、幅100mm程度です。

・輪止めの使用方法

黄色輪止め

輪止めの使用方法は2通りあります。

1つ目は後輪の1つを前後から挟む方法です。

トラックの後方は死角になりやすいため、輪止めを外す動作とともに安全確認ができます。最もポピュラーな使用方法と言えるでしょう。

2つ目は右側の前輪に挟む方法です。右側の前輪は運転席の真下にあるため、トラックを降りてすぐに輪止めを設置できます。

輪止めは正しく使用することで効果を発揮します。タイヤが固定できていないと動き出したタイヤが輪止めを弾いてしまい、かえって事故につながってしまう恐れがあるため、注意しましょう。

・輪止めの外し忘れに注意!

急いでいるときや輪止めを設置する習慣が身についていないうちは、輪止めを設置したことを忘れてトラックを発進させてしまいがちです。素材によっては踏みつけた拍子に割れてしまい、破片が人やものに当たって事故につながる可能性があります。目立つ色の輪止めを設置したり、わかりやすいところに輪止めを設置しているサインを置いたりなど工夫をしましょう。

安心と安全のため、輪止めはトラックに欠かせません。輪止めの設置は義務付けられていませんが、安全や信頼の確保、ドライバーの意識向上のためにも取り入れてみてはどうでしょうか。

命と荷物、信頼を守るためにも輪止めを使って安全に配慮しましょう。