MT(マニュアルトランスミッション)は、現在も多くのトラックに採用されています。トラックを運転するならギアチェンジのコツを掴み、効率的な運転や燃費向上に役立てましょう!
今回はトラックのギアの名称と違いをおさらいしたあと、ギアチェンジのコツを詳しく解説いたします。
■トラックのギアの名称と違い
普通車はAT(オートマチックトランスミッション)が普及している中、トラックなどの大型車は今でもMT(マニュアルトランスミッション)が主流です。
・多くのトラックに採用されるMT
トラックは数百kgから数tもの荷物を運搬します。重量は発進、加速、登坂時に影響を及ぼすため、積載量や路面の状態に応じてギアを自分で切り替えられるMTでなければ燃費のよい走行はできません。
またMTはATほど構造が複雑ではないため、故障が少なく、ランニングコストが安く済むのも理由です。
・ギアの名称と違いについて
そもそもギアは歯車を意味する英語で、トランスミッション(変速機)を構成するパーツの一つです。トランスミッションには、クラッチを通じてエンジンの動力を車輪に伝える役割があります。
大小一対の歯車をかみ合わせた状態で小さな歯車を回転させると、大きな歯車は小さな歯車の倍の力で回ります。反対に大きな歯車を回転させると、小さな歯車の回転数は倍になる仕組みです。これを応用したのがトランスミッションです。トラックドライバーは走行状態に合わせてギアチェンジを行います。
ギアは「L」から始まり、エンジンの回転数や速度に合わせて徐々にギア段を上げていきます。
ギアの名称と違いを簡単にご紹介します。
「L:ローギア」
発進時に使用する
「2:セカンドギア」
ローギアで発進したらセカンドギアに切り替える
セカンドギアで徐々にスピードを上げていく
「3:サードギア」
セカンドギアでスピードが出だしたらサードギアに切り替える
時速30kmまで出るため、狭い道などで使用することもある
「4:トップギア」
時速50~60kmまで出せるため、一般道を走行する際のメインギア
停止する際はトップギアの状態でブレーキを踏み、減速に合わせてギアを切り替える
「5:オーバートップギア」
高速道路で使用する
「R:バックギア」
MT車では半クラッチで速度調整を行いながらハンドルを操作する
慣れていないとエンストしてしまうため、運転技術が必要
■ギアチェンジのコツは?
・クラッチを調整する
クラッチを調整しておくと、スムーズなギアチェンジが可能です。トラックは普通車に比べてパワーがあるので、クラッチペダルから足を外してもすぐにクラッチがつながってしまいます。定期的に調整しておくことで遊びの間隔が適切になり、発進時に車体がガタガタと揺れるのを防げるでしょう。
・シフトアップは丁寧に行う
シフトアップとは、ギアを1つ上げることです。車体が揺れるのを防ぐためにも、シフトアップは焦らず丁寧に行いましょう。エンジンの回転数が十分に上がったタイミングでシフトアップをすれば、スムーズに加速できます。
・補助ブレーキの活用
トラックのシフトダウンはエンジンブレーキを使わずに行いましょう。ディーゼルエンジンのトラックにはリターダーと呼ばれる補助ブレーキが搭載されているので、うまく活用して少しずつシフトダウンをするのがコツです。
リターダーはエンジンブレーキよりも制動力が高く、また主ブレーキの負担や消耗を減らせます。
■MT以外のトランスミッション
・オートマチックトランスミッション
自動変速装置を搭載することにより、システムが自動的に変速の管理を行います。ドライバーはアクセル、ブレーキ、ハンドル以外に操作をする必要がなく、誰でも簡単に運転できるのがメリットです。
ただし、MTに比べて車両価格や維持費が高いため、長距離を移動するトラックとしてはメリットが少ないかもしれません。
・セミオートマチックトランスミッション
MTとATの機能を併せ持つのがセミオートマチックトランスミッションです。クラッチ操作が不要で、エンジンの回転数から適切なギアを自動で選択してくれます。
ギアチェンジは必要に応じて手動で行えるため、AT車に乗っている感覚で手軽にシフトアップやシフトダウンができるのもメリットです。
車両本体価格や維持費は高めですが、ATよりも燃費がよいため、セミATのトラックを採用する運送会社も増えつつあります。
ギアチェンジやクラッチ操作に慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、練習すればコツを掴めるはずです。スムーズなギアチェンジを習得し、燃費のよい走行を実現しましょう。