大型トラックやバスなどを運転する際に必要となるのがタコグラフの装着です。タコグラフの装着は国土交通省によって義務とされており、違反した場合は罰則があります。白ナンバーでも内容は異なるものの、義務付けられているので注意しましょう。
今回はタコグラフの装着義務についてご紹介いたします。
■そもそもタコグラフって何?
まずはタコグラフがどのようなものかをご紹介いたします。
・タコグラフとは
タコグラフとは「運転記録計(tachograph)」のことで、車の速度、時間、距離といったいわゆる「法定三原則」を記録するものです。
タコグラフは1950年にドイツで誕生しました。名前の由来は「回転速度計(Tachometer)」と「記録(Graphink)」とされています。法定三原則を記録することで、運転者の労働状況を記録し、問題がないかを確認できる仕組みです。
一般的には、長距離運転や労働時間が長くなりやすいバスやトラックなど大型車両に搭載されており、運転者が心身の安全を保てるように活用されています。最近ではタクシーにも装着が義務付けられました。
・タコグラフの種類
タコグラフには大きく分けて2種類あります。
<アナタコ>
アナタコはアナログタコグラフのことで、記録方法がアナログ式になっています。一般的にはスピードメーターの裏に円形の記録用紙がセットされており、回りながら記録します。なお、タクシーの場合は時計の裏側にセットされることが一般的です。
24時間で記録用紙を一周し、速度が放射線状に描かれます。
ただし、記録された内容を正確に読み取るには知識が必要で、なかには情報を改ざんする人もいました。
これまでタコグラフはアナタコが主流でしたが、現在は数を減らしつつあります。
<デジタコ>
一方でデジタコはデジタルタコグラフのことで、記録方法がデジタル式になっています。
デジタコでは記録用紙ではなく、SDカードなどの媒体に情報を記録します。アナタコでは法定三原則のみの記録でしたが、デジタコではGPSを使った位置情報の記録や、アイドリング、エンジン回転数など多くの情報を記録できるようになりました。なかにはインターネットを使って、運転者と管理者が連絡できるようなものもあります。
また、印刷すればデータが誰でもわかりやすく見やすい表になって出力される仕組みです。
現在はデジタコがタコグラフの主流になりつつあります。
■タコグラフの装着義務について
タコグラフは装着義務があるため、該当する場合は必ず装着しましょう。こちらではタコグラフの装着義務についてご説明いたします。
・タコグラフの装着義務の対象
タコグラフの装着義務対象は下記の車両です。
①トラックなど事業用自動車で車両総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上の車両
②大都市部の法人タクシーやハイヤー(個人は対象外)
③100km以上の路線を運航する貸切バス
④路線バス
この条件から、緑ナンバーの車両はタコグラフの装着義務があるといえます。事業用車両の場合、使用していない予備の車両などを含む、すべての車両に装着が義務付けられています。
ただし、装着するのはデジタコ、アナタコのどちらでも構いません。
・白ナンバーも対象!
自家用車である白ナンバーには装着義務がないと考える方もおられるでしょうが、実際、装着義務自体はあります。緑ナンバーとの大きな違いは、白ナンバーの場合は所轄の運輸支局の監査がないことと、行政処分がないという2点です。
白ナンバーであっても、車両総重量8トン以上、または最大積載量5トン以上の車両であれば装着義務があることを覚えておいてください。
※白ナンバーは2014年に法改正された「道路運送車両保安基準」に自家用車は含まれていないため、装着義務対象が従来のままです。
白ナンバーであっても、タコグラフを装着していないと罰則や罰金が科せられます。
・違反するとどうなる?
対象であるにもかかわらずタコグラフの装着をしていない場合、反則金や行政処分が下されることがあります。
①運行記録計の不備…反則金が科せられる。行政処分は対象外。
②記録義務違反…車両の使用停止などの行政処分の対象。
③記録改ざん…車両の使用停止、営業停止などの行政処分対象。
タコグラフの装着義務に違反すると、事業が行えなくなる可能性があるため、必ず装着するようにしましょう。助成金制度もあるため、うまく活用すれば費用を抑えてタコグラフを導入することができますよ。