セミトレーラーとは、運転席と荷台部分を切り離せる貨物用車両です。荷台は貨物に合わせてさまざまな種類があり、主に8種類に分けられます。規格・寸法ともに通常のトラックより大きいため、道路を走行する際は国の許可が必要です。
今回はセミトレーラーの構造や種類、通行許可に必要な申請についてご紹介いたします。
■セミトレーラーとは
・セミトレーラーの構造
セミトレーラーはけん引車両であるトレーラーヘッドと、被けん引車両であるトレーラーをカプラやキングピンと呼ばれる連結器で連結させたトラックです。トレーラーヘッドには荷台が、トレーラーには運転席がないため、これらを連結させることにより初めて荷物の運搬を行えます。
・セミトレーラーの種類
<スタンション型>
平坦な荷台の上に荷物を載せて運搬します。荷台の前方や側面にはスタンションと呼ばれる落下防止用の手すりや、ワイヤーフックが取り付けられています。
<あおり型>
荷台の四方にあおりが付いています。鳥居や中柱、ワイヤーフックが取り付けられている固縛を前提としたタイプとそうでないタイプがあります。
<船底型>
荷台の中央部分が船底のように窪んでいることから名付けられました。窪みがあることにより、荷物を安定して運搬できます。
<コンテナ型>
海上コンテナの運搬用として使用されています。シャーシのフレームには四方にツイストロックが装備されており、これによりコンテナを固定します。
<バン型>
最も普及しているトレーラーです。側面の一部と後方に扉のあるバンタイプや、側面が大きく開くウィングタイプ、冷凍冷蔵仕様など種類は多岐にわたります。
<タンク型>
石油やガスなどを運搬する際に使用されるのがタンク型のセミトレーラーです。ガソリンスタンドなどでよく見かけるタイプが該当します。
<車両運搬用>
乗用車の運搬用に開発されたセミトレーラーで、国内においては最大8台まで積載できます。トレーラーヘッドに積載できるタイプもあります。
<幌枠型>
平ボディをベースに幌を被せた骨組みを装備しています。蛇腹に折りたためるので、荷物を雨や雪から保護できます。
・フルトレーラーとの違い
セミトレーラーとは形状が異なり、トラックの後方にトレーラーを連結させた車両がフルトレーラーです。フルトレーラーはトレーラーヘッド単体で自走できるだけでなく、トレーラーヘッドにも荷物を積載できるため、1度でトラック2台分の荷物を運搬できる特徴があります。
■セミトレーラーで道路を通行する際の注意点
・道路を通行できる車の条件
道路法では道路の安全性を確保するため、通行できる車両の条件として「一般的制限値」を定めています。セミトレーラーの場合、一般的制限値を超えて構造が特殊な車両として扱われるため、道路を通行する際には特殊車両の通行許可が必要です。
道路管理者がやむを得ないと判断した場合に限り、通行条件を付与したうえで通行が認められます。
・特殊車両の通行許可には審査が必要
セミトレーラーが通行許可を受けるには、書類を揃えて申請した後、審査に通過する必要があります。申請から許可を受けるまで一定期間を要し、新規申請や変更申請の場合は3週間前後、更新申請の場合は2週間前後の期間がかかります。審査に通過すると、通行条件とともに許可証が発行される仕組みです。
申請書は通行する道路の管理者に提出します。
道路の管理者とは、国の道路事務局や自治体の市役所、建設事務所、各高速道路(株)など、複数あるため、注意しましょう。
■特殊車両の通行許可申請に必要な書類
<新規申請>
- 特殊車両通行許可申請書
- 車両内訳書(包括申請のみ)
- 車両の諸元に関する説明書(新規格車の場合は不要)
- 通行経路表
- 通行経路図
- 車検証の写し
- 軌跡図
- 道路管理者が必要と判断した書類
新規格車とは、一部のセミトレーラー(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ型、車両運搬用)の寸法が一般制限値の範囲内であり、総重量が最大26tの車両を指します。
新規格車に該当する場合、車体に【20t超】のワッペンを貼り付けます。
<更新申請>
- 特殊車両通行許可申請書
- 新規申請より後に交付を受けた許可証と付随する書類の写し
- 道路管理者が必要と判断した書類
<車両や経路の変更申請>
- 特殊車両通行許可申請書
- 車両内訳書(包括申請のみ)
- 車両の諸元に関する説明書(車両変更時のみ)
- 車検証の写し(車両変更時のみ)
- 軌跡図
- 通行経路表(経路変更時のみ)
- 通行経路図(経路変更時のみ)
- 新規申請より後に交付を受けた許可証と付随する書類の写し
- 道路管理者が必要と判断した書類
更新や変更の申請を、新規申請をした際と異なる窓口で行う場合、新規申請時と同様に改めて書類を揃える必要があります。
セミトレーラーは特殊車両に該当するため、許可を受けないと道路を通行できません。
また、車両の制限に関する法令は道路法以外にも、道路交通法や道路運送車両法など複数あります。しっかりと確認したうえで適切に対応しましょう。