トラックの走行中「キュルキュル…」と音が聞こえたことはありませんか?それはファンベルトの鳴きです。音が小さいからといって油断するのは禁物ですよ。
今回はファンベルトの鳴きの原因や対処法をご紹介いたします。
■ファンベルトの鳴きはなぜ起こる?
ファンベルトはなぜ鳴きが起こるのでしょうか。こちらでは原因について詳しくご紹介いたします。
・そもそもファンベルトとは?
エンジンは冷却するためにラジエーターのファンを回転させています。エンジンからファンに回転する力を与えるためにベルトがつながっており、このベルトがファンベルトです。ファンベルトは合成ゴムでできているため、トラックを走らせていると劣化が起こります。
なお、エンジンにはほかにもベルトが使われておりキュルキュルという音が鳴っている場合、ファンベルト以外が原因になることもあります。鳴きが気になる場合は、まずどこが鳴きの原因箇所なのかを見極めることが大切です。
・ファンベルトの鳴きが起こる原因
ファンベルトの鳴きが起こる原因は主に3つあります。
①ファンベルトの劣化
ファンベルトは合成ゴムでできており、エンジンが熱くなると熱によって伸縮します。しかし、劣化した合成ゴムは硬くなり、伸縮に十分な柔らかさを失ってしまいます。
硬くなったファンベルトは摩擦力の低下につながり、エンジンの回転についていけず、滑りやすくなり鳴きの原因になるのです。
②ファンベルトの張力不足
ファンベルトに張力が不足していると、エンジンの回転を伝えきれずに滑りやすくなってしまいます。
ファンベルトは十分な張力があっても、劣化することでゴムが伸びてしまい滑りの原因になることがあります。反対に、新品のファンベルトであっても張力が不足していると鳴きは起こるため覚えておきましょう。
③故障
ファンベルトそのものに問題がなくても、周辺の機器に故障や不具合があると鳴きの原因になります。
周辺機器の故障で多いのはプーリー(ファンベルトを引っかける滑車)や、テンショナー(ファンベルトの張力を調整する緊張装置)です。サビなどが発生すると、ファンベルトと摩擦が起きて鳴きが起こります。
・放置するとどうなる?
車の部品の故障は人体のように放置していても改善することはありません。特に劣化が進んで硬くなったファンベルトは使用を続けると切れることがあり、エンジンそのものに問題がなくても走行できない状態になることがあります。走行中に切れると、エンジンが停止するため重大な事故を起こしかねません。
ファンベルトの鳴きが気になる場合は、早急に対策をとるようにしましょう。
■ファンベルトの鳴きを止めるには交換が必要
ファンベルトの鳴き対策には鳴き防止スプレーなどがありますが、あくまでも音に対する応急処置なのでファンベルトの状態が改善することはありません。
鳴きが起きたら、できるだけ速やかに交換を考えましょう。
・ファンベルトの交換時期
ファンベルトの鳴きが交換目安とされています。
ファンベルトの寿命は一般的に5~10年、走行距離5~10万kmとされていますが、短くなることもあります。また、ファンベルトを目視した際に割れ、ヒビ、亀裂が発生している場合も交換の目安です。
・ファンベルトの交換にかかる費用の目安
軽自動車…4,000円
普通自動車…3,000円
大型自動車…6,000円
ここに作業工賃として5,000円ほどが必要になります。
ただしファンベルトの交換は規格、車種、メーカー、依頼先によって異なるため、あくまでも目安として考えてください。
・劣化が原因でない場合
ファンベルトが劣化しておらず、ゆるみなどが鳴きの原因の場合はベルトの張り調整だけで改善することがあります。
調整にかかる費用はおよそ3~4,000円くらいが相場です。
ただしオートテンショナーを使用している場合、調整ができないこともあります。その場合はオートテンショナーに不具合がないかを点検しておきましょう。
ファンベルトの鳴きは車にとって重要な警報のようなものでもあります。見落としたり、慢心せずに適切な対応を行い、安全運転を心がけてくださいね。