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トラックのエアドライヤーとは?仕組みや点検方法、交換する場合の目安と費用

トラック2台の横画像

エアドライヤーは、トラックの重要な部品の一つです。

安全な走行を維持するためにも、仕組みや点検方法を理解しておきましょう。

今回はトラックにおいて重要なエアドライヤーについて、交換する場合の目安や費用も併せてご紹介いたします。

■トラックのエアドライヤーとは

まずは、エアドライヤーがどのようなものかを解説いたします。

・エアドライヤーとは

エアドライヤーは、トラックやバス、重機など、エアコントロールシステムを使用するすべての大型車両に搭載されている部品です。

トラックなどの大型車両は、コンプレッサーで圧縮した空気をブレーキやサスペンションなどのエアコントロールに利用しています。

圧縮空気には、余計な水分や油分も含まれるため、機能が正常に作動するよう各システムへの侵入を防ぐのがエアドライヤーの役割です。

なお、エア経路に水分や油分などの異物が入り込むと、エアコントロールシステムの不具合が起こります。

・エアドライヤーの仕組み

エアドライヤーは、ろ過装置に似ています。

エアドライヤーには、多数の細かいくぼみが空いた乾燥剤が備わっており、圧縮空気がエアタンクへ流れる前に、エアドライヤーを通って水分や油分をろ過する仕組みです。

また、乾燥した空気の一部はエアドライヤーの中に残り、乾燥剤へ吹きかけることで機能を再生させる役割を果たします。

・制御方式は主に3種類

エアドライヤーの制御システムは、「電気式」「モジュール式」「タイマーパージ式」の3種類です。

<電気制御式>

トラックに搭載されている電子制御ユニットを使用するタイプです。

カートリッジの寿命をモニタリングできる特徴があります。

<モジュール式>

乾燥や再生のために消費する空気用のタンク(パージタンク)が一体化しています。

メンテナンスをしやすいのが特徴です。

<タイマーパージ式>

パージタンクが不要でコンパクトなタイプです。

本体に搭載された再生タイマーで乾燥剤を乾燥させます。

■エアドライヤーは点検が欠かせない

おもちゃトラックのまわりに工具

乾燥剤が吸い取った水分は、乾燥・再生用の空気を吹きかけることで除去できますが、油分はそのまま蓄積し、乾燥剤を劣化させます。

そのため、エアドライヤーはこまめな点検と交換が欠かせません。

・エアドライヤーが故障すると…

エアドライヤーは乾燥剤のほか、エキゾーストバルブやチェックバルブ、ガバナなど複数の部品で構成されています。

しかし、エアドライヤーの故障はそれぞれが相互に作用して発生するため、故障した部品の特定はできません。

どの部品が故障しても、ブレーキや駆動系の動作不良やエアサスペンションの不具合が起こる恐れもあります。

特に、ブレーキの動作不良は安全性に大きくかかわるため、走行中に違和感を覚えたときは、すぐにエアドライヤーの点検や交換を行いましょう。

・エアドライヤーの点検方法

エアドライヤーは、日常点検と定期点検が必要です。

日常点検では、エンジンをかけて空気圧が充てんされたら、エキゾーストポートから空気が排出されるかを確認します。

また、定期点検は3か月に1度を目安に、エアドライヤーから水分や油分が排出されていないかを整備工場などで確認してもらいましょう。

■エアドライヤーの交換目安と費用

トラックおもちゃとピンクの電卓

エアドライヤーは消耗品のため、定期的に交換しましょう。

・エアドライヤーの交換目安

エアドライヤーの交換は年に1度、または走行距離を目安に行います。

中型トラックの場合は60,000kmごと、大型トラックの場合は100,000kmごとが目安です。

・エアドライヤーの交換費用

交換費用は、車種や車両サイズ、エアドライヤーの制御システムなどで変わりますが、新品への交換だと工賃を含めて50,000~60,000円ほどが一般的でしょう。

中古品やリビルト品の場合は、25,000~30,000円ほどが相場です。

エアドライヤーは、エアコントロールシステムを採用する大型車両の安全を陰で支える大事な部品です。

年次点検や走行距離を目安に交換し、走行の安全性を維持しましょう。

キャブオーバーとは、どんな車を指す?特徴やメリット・デメリット、人気トラックを解説

トラックの前で腕組みして微笑む男性

あまり聞き慣れないかもしれませんが、キャブオーバーは車の構造を指す言葉です。

一般的な乗用車に多いボンネット型とは、異なる特徴があります。

今回は、キャブオーバーの意味や特徴からメリット・デメリットまで、詳しくご紹介いたします。

■キャブオーバーとは、どんな車を指す?

まずは、キャブオーバーの意味や特徴についてご紹介いたします。

・キャブオーバーとは

エンジンの上に運転席(キャビン)がある構造の車を、「キャブオーバー(または「キャブオーバー型」)」と言います。

対して、エンジンが運転席よりも前にある構造の車が「ボンネット型」です。

現在、日本のトラックはキャブオーバーが主流ですが、旧式トラックの中にはボンネット型も見られます。

・「バン」となにが違う?

「バン」と呼ばれる車の多くは商用車にあたり、運転席と荷室がつながった構造をしています。

乗車スペースよりも荷室のほうが広々としているうえ、2列目をリクライニングできないのが特徴です。

一方、キャブオーバーのトラックは運転席と荷室が完全に分離しており、運転席から荷室へは移動できません。

・キャブオーバーの特徴

キャブオーバーは運転席の下にエンジンがある分、車高が高めで、シートにエンジンの熱や振動が伝わりやすいのが特徴です。

また、エンジンルームを開けるには、運転席を前傾させる必要があります。

■キャブオーバーのメリット・デメリット

トラック荷台に案内する女性

キャブオーバー型のトラックには、以下のメリットとデメリットがあります。

・キャブオーバーのメリット

キャブオーバーは荷室が広く、1度に多くの荷物を積み込めます。

また、運転席からの目線が高くなり、道路を見下ろすように運転できることもメリットです。

前方にボンネットがない分、小回りが利きやすいのも日本の道路事情に適した設計と言えるでしょう。

・キャブオーバーのデメリット

キャブオーバー型のトラックは運転席が箱型で、走行中に空気抵抗を受けやすいことがデメリットです。

速度が上がるほど空気抵抗の影響も大きくなり、高速道路などでは多くの燃料を必要とします。

また、車のボンネットは、前からの衝撃を受け止める役割を担いますが、キャブオーバー型のトラックにはクッションの役目になるボンネットがありません。

そのため、衝撃に弱いことがデメリットによく挙げられる反面、メーカーは衝突安全性の高いボディの設計に取り組んでいます。

■キャブオーバー型の人気トラック

FUSOキャブオーバー

キャブオーバー型のトラックで、人気のある車種をご紹介いたします。

・トヨタ ダイナカーゴ

トヨタは物流トラックの最先端を目指し、高性能の安全技術を標準装備しています。

専用のエンジンを搭載し、低燃費、エコ、高い走行性能を実現するダイナカーゴは、トラック界屈指の存在です。

1tと2tクラスがあり、汎用性の高い車種がラインアップされています。

・いすゞ エルフ

小型クラスにおける国内シェア1位を誇ります。

走行中にドライバーの負担を軽くするスムーズな変速操作のほか、高性能エンジンと先進システムによる優れた燃費性能、危険を察知して事故を回避する信頼性の高い安全機能など、ドライバーを満足させる技術を集結した1台です。

・日野 デュトロ

運転席やボディのタイプを細かくラインアップし、用途に合わせて選べる柔軟性の高さが魅力です。

市街地での運行に配慮し、軽自動車並みの小回りを実現するほか、安全性や快適性を重視した高機能システムを搭載しています。

ドライバーが安心して運転に集中できる工夫が満載のトラックです。

・三菱ふそう キャンター

「安心の新しい走り」をコンセプトに、メーカー独自の先進安全技術が標準装備されています。

環境への配慮も著しく、低排出ガス車に認定されているトラックです。

快適性にも配慮され、運転に集中できるようキャビンの内装はシックなインテリアで統一されています。

・日産 アトラス

アトラスは、ドライバー、周囲、環境の全方位に配慮したやさしいトラックです。

先進の安全技術を標準装備して安全運転をサポートするほか、アイドリングストップシステムや高燃焼効率エンジン、新世代トランスミッションなどを搭載し、スムーズに走れます。

キャブオーバー型のトラックは、運送効率や機動性を考慮して設計されました。

現在も、性能が大きく向上したトラックが日々開発されています。

また、中古市場においても高性能トラックの取り扱いは珍しくないため、トラックの買い替えを検討している方は、中古トラックも視野に入れて探してみてください。

トラック運送事業者のGマークとは?申請から認定までの流れや取得するメリット・デメリット

Gマーク

現在、Gマークの認定事業所は次々に増加しています。

認定されると多くのメリットが得られるため、トラック運送事業者は取得を目指しましょう。

今回はGマークについて、申請から認定までの流れや取得するメリット・デメリットなどを詳しくご紹介いたします。

■Gマークとは?申請から認定までの流れ

まずはGマークがどのようなものか、お伝えいたします。

・Gマークとは

Gマークとは、公益社団法人全日本トラック協会が安全性を認めた事業所に付与する認定マークです。

Gマーク認定は、利用者が安全性の高い事業者を選ぶときの目安となり、事業者にとっても安全に対する意識を高めるとともに環境を整えるきっかけにもなります。

・Gマーク認定事業所の割合

2022年3月末の時点で、27,898の事業者が安全性優良事業所に認定されています。

この数字は、全事業所数の32%に相当する割合です。

なお、国土交通省が2019年中の事業用トラック1万台あたりの事故件数をまとめた結果、Gマークを取得した事業所の事故件数は、未取得の事業所に比べて半分以下であったことがわかっています。

・Gマーク認定までの流れ

Gマークの申請から認定までの大まかな流れをご紹介いたします。

  1. 都道府県トラック協会に申請書類を送付する
  2. 全日本トラック協会に申請書と添付資料が送付される
  3. 安全性評価委員会の評価を受けたのち、要件を満たせば認定される

2022年度の申請受付期間は、7月の初め頃から2週間ほど設けられていました。

また、結果が出るのは申請をしてから約5か月後です。

なお、Gマーク制度の最新情報は、全日本トラック協会のホームページで確認できます。

■Gマークの申請資格と認定要件について

申請書

Gマーク認定の安全性評価は、厳しい基準が設けられています。

・Gマークの申請資格

申請をするには、以下の項目を満たしている必要があります。

  • 事業開始後、3年以上経過している
  • 使用する事業用トラックが5台以上ある
  • 虚偽の申請や不正な申請の却下または取り消しを受けた後、2事業年度を経過している
  • Gマークや認定証の偽造や不正使用により是正勧告を受けた場合は、改善が認められたのち、認定証を提出した日から3年以上経過している

・Gマークの認定要件

安全性評価は、各項目に設けられた内容をもとに点数が加算されます。

認定を受けるには、一定の点数や要件を満たさなければなりません。

<認定要件>

  • 評価点数の合計が80点以上
  • 各項目の点数が基準点を上回っている
  • 法に基づいた許可申請や届出、報告が行われている
  • 社会保険などに加入している

<評価項目と内容>

  • 安全性に対する法令遵守状況(配点40点/基準点32点)

評価内容:地方実施機関の巡回指導結果、運輸安全マネジメントの取組状況

  • 事故や違反の状況(配点40点/基準点21点)

評価内容:重大事故、行政処分の状況

  • 安全性に対する取組の積極性(配点21点/基準点12点)

評価内容:安全対策会議の実施、運転者の教育などの取組の自己申告事項

なお、評価の結果は各事業所へ郵送され、認定を受けた事業所は全日本トラック協会のホームページで公表されます。

■Gマークを取得するメリット・デメリット

トラックを運転する男性

Gマークの取得に関するメリットとデメリットをご案内いたします。

・Gマークを取得するメリット

Gマーク認定を受けるメリットは、以下が挙げられます。

  • 交通違反による違反点数の消去期間が3年から2年に短縮される
  • IT点呼が導入できる
  • 低公害車導入促進補助金制度を利用したCNGトラックの最低導入台数が3台から1台になる
  • 点呼が所属外の営業所や同じ敷地内にあるグループ企業間でも行える
  • Gマークの認定が10年以上継続し、一定の基準を満たした場合に表彰される
  • 一部の損保会社や交通共済で保険料の割引が受けられる
  • 全日本トラック協会が実施する助成金制度の優遇が受けられる
  • 荷主からの信頼性が高まる
  • 全日本トラック協会のホームページに掲載され、周知される

Gマーク認定により、事業所全体の士気も高まるでしょう。

・Gマークを取得するデメリット

取得のメリットがある一方、デメリットもあります。

具体的には、書類の準備や管理など事務処理が煩雑になるほか、日頃から安全に対する取り組みを入念に行う必要があることなどです。

体制を整え、事業所が一丸となって取り組む必要があるため、説明会などを実施して周囲に理解と協力を求めましょう。

Gマーク認定は、企業コンプライアンスが強く求められる昨今において、価値の高いマークです。

取得や維持のハードルも高いものの、事業所全体の活性化につながります。

認定を目指すなら、まずは全日本トラック協会のホームページを確認しましょう。

重機の種類には何がある?現場が違えば活躍する重機も違う!

重機にはそれぞれ役割があり、目的に合わせて使用することが非常に重要です。

重機によっては一つの枠組みにとらわれず多岐に渡って使用されているものもあります。

今回は、豊富な種類がある重機の中でも特に活躍している重機を3種類ご紹介いたします。

重機の導入を考えている方は是非ご一読ください。

■重機の王様!?油圧ショベル

まずは知名度が非常に高い油圧ショベルをご紹介いたします。

・活躍する現場の種類

油圧ショベルは別名「ユンボ」などと呼ばれています。

油圧ショベルは主に土砂を掘る作業や、運搬用トラックへの積み込み作業を得意とする種類の重機で、世界的に活躍しています。

掘削作業が得意な油圧ショベルは主に土木や農林業の分野で使用されます。

油圧ショベルのバケット部分は取り変えることができるため、アタッチメントを変えた油圧ショベルは建物の解体工事現場で粉砕作業を担当するほか、産業廃棄物を選別する作業にも使われます。アタッチメントを取り変えれば、非常に多くの現場で活躍することができる重機です。

・サイズ

油圧ショベルはサイズによって複数の種類に分けられています。

機体重量が6トンに満たないものはミニ油圧ショベルと呼ばれ、道路工事など狭い場所での作業に対応可能となっています。

ミニ油圧ショベル以外に中型油圧ショベル、大型油圧ショベルがあり、それぞれ一度にすくうことができる土砂の量が異なります。

・運転に必要な資格や免許の種類

油圧ショベルの運転に必要な資格は「車両軽視建設機械運転技能講習」または「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」のどちらかです。また、公道を走る場合は自動車免許も必要になります。運転する油圧ショベルの大きさによって必要な免許が異なるので、油圧ショベルの資格が欲しい方は免許についてもチェックしておきましょう。

■整地ならお任せ!ブルドーザー

続いてブルドーザーについてご紹介いたします。油圧ショベルと共に、非常に知名度のある重機です。

・活躍する現場の種類

ブルドーザーは土砂の掻き起こし、運搬、ならしの作業を得意とする重機です。

整地用の重機で、主に建設業界で活躍しています。

車体の前面に装着しているブレードが特徴で、先端部分に重力が加わることで掘削や土砂の移動を行います。

海外ではまだ開発が進んでいない地域などに用いられることが多くなっています。

・ブルドーザーの種類

ブルドーザーには通常、乾地用と湿地用があります。

ドーザーシャベルという種類ではブレードではなくバケットを装着しており、土砂を盛る作業やトラックへ積み込みを行う作業を得意としています。

水陸両用や水中ブルドーザーもあり、海底や水路の作業に対応します。

・運転に必要な資格や免許の種類

ブルドーザーを運転するには「車両系建設機械運転者」の資格が必要です。

機体重量が3t未満であれば、「小型車両系建設機械運転者」でも運転が可能になります。

また「不整地運版運転者」という資格も必要です。こちらも運転する機体重量によって必要な資格が異なります。

■ブルドーザーには負けない整地のプロ!モーターグレーダー

最後に紹介する重機はモーターグレーダーです。

・活躍する現場の種類

モーターグレーダーは前方に長いフロントフレームがあり、フレームの中央部分にはブレードが装着されています。

独特な形状のモーターグレーダーは、高い整地力を持っており、建築現場や土木業で活躍をします。雪の多い地域では雪かき用として重要な役割を担っている重機です。

・グレーダーとの違い

モーターグレーダーとよく混同されるものに「グレーダー」があります。

グレーダーは重機の名前ではなく、トラクターに装着して牽引する器具のことを指します。

モーターグレーダーは、グレーダーをモーターエンジンに装着した重機のことで、自走するものを指します。

・運転に必要な資格や免許の種類

モーターグレーダーを運転するには大型特殊免許の経験が2年以上なければ資格がとれません。他に必要な免許としては「建設機械施工技士3種」または「技能講習修了」があります。雪かき用として使用する場合は「除雪講習修了」も必要となります。

重機にはまだまだ多くの種類があります。

重機の種類によっては1つの免許で他の重機を運転できるものもあるので、どんな免許があればどの重機が運転できるようになるのかを調べておくと、活躍の場が広がりやすくなります。多くの重機を使いこなすことでスキルやキャリアの成長に繋がりますので、積極的に様々な重機の資格を取ってみてはいかがでしょうか。

■幅広い現場で活躍!ホイールローダー

車体の前面には大きなバケットを搭載しており、すくって持ち上げ、運ぶのが得意な重機です。

・活躍する現場の種類

土木建築現場で土砂や骨材、廃材などをトラックに積み込む際に使用されるほか、災害現場でのがれき撤去作業、農場や畜産現場では飼料の積み込み・運搬や堆肥の切り返し、豪雪地帯では道路の除雪作業など、幅広い現場で活躍しています。

また、アタッチメントを付け替えると荷役作業にも使えます。

・ホイールローダーの種類

ホイールローダーは標準仕様に加えて、畜産仕様、除雪ドーザ仕様、トンネル仕様など多くの種類があります。

なかには、30種類以上のアタッチメントを付け替えてマルチに活用できるタイプもあるため、用途に合わせて選びましょう。

大きさはバケットの容量によって分けられ、3tクラスのミニホイールローダーから、200t前後の大型クラスまで存在します。

・運転に必要な資格や免許の種類

ホイールローダーを運転するには、機械を操作するための資格と、公道を走行するための自動車免許が必要です。

3t未満のホイールローダーを操作する場合は「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」、3t以上の場合は「車両系建設機械運転技能講習」を受講しましょう。

なお、公道の走行には、車両サイズに応じて「小型特殊免許」または「大型特殊免許」が必要です。

■荷物の運搬に優れた重機!ダンプトラック

ダンプトラックは、荷台を傾けて荷物を一気に降ろせる仕様の重機です。

・活躍する現場の種類

ダンプは土砂や産業廃棄物などの運搬に使用されており、土木建築現場をはじめ、鉱山、採石場、運送業などと多方面で活躍しています。

道路交通法によって小型・中型・大型の3つに区分され、土木建設現場や採石場では大型ダンプ、産業廃棄物などの運搬には小・中型のダンプと使い分けるのが一般的です。

また、海外の鉱山では無人ダンプが活躍しており、現在は日本でも実証実験が開始されています。

・ダンプトラックの種類

ダンプトラックの種類は主に、土砂運搬用の「土砂ダンプ」と、軽量物を運搬する「深ダンプ(土砂禁ダンプ)」の2種類です。

荷台の形状には、荷台の前方が持ち上がる「リアダンプ」、左右に傾く「サイドダンプ」、左右と後方に傾く「三転ダンプ」、荷台がスライドする「ローダーダンプ」など、さまざまな種類があります。

なかには、「アーティキュレートダンプ」と呼ばれるタイプもあり、前輪と後輪の間にある支点で車体が折れ曲がるため、不整地や軟弱地、急な勾配でも高い走行性能を発揮できるのが特徴です。

・運転に必要な資格や免許の種類

ダンプの運転には、車両サイズに応じた自動車免許が必要です。

小型ダンプ:準中型免許以上

中型ダンプ:中型免許以上

大型ダンプ:大型免許

なお、中型ダンプには「増トン車」と呼ばれるタイプもありますが、増トン仕様のダンプを運転する場合は大型免許が必要です。

■力強い動きが大きな魅力!クレーン

クレーンとは、動力で荷物を吊り上げて水平に運搬するもの、または内蔵された原動機で不特定の場所に移動できる重機を指します。

・活躍する現場の種類

クレーンは陸上だけでなく、鉄道や水上など、目的に応じてあらゆる現場で活躍する重機です。

具体的には、土木建設現場、工場、倉庫、墓地や霊園、山間部、河川や渓谷、港などが挙げられます。

・クレーンの種類

種類は主に、天井や地面に設置して操作する一般的な「クレーン」と、機体そのものが移動できる「移動式クレーン」の2種類に分かれ、用途に合わせて使い分けられています。

<クレーン>

天井クレーン、ジブクレーン、ケーブルクレーン、橋形クレーンなど

<移動式クレーン>

トラッククレーン、ホイールクレーン、ラフテレーンクレーン、クローラクレーン、鉄道クレーン、浮きクレーンなど

・運転に必要な資格や免許の種類

クレーンや移動式クレーンは、荷重によって必要な免許や資格が異なります。

クレーンを運転する場合は、以下の通りです。

吊り上げ荷重が5t未満:クレーンの運転の業務特別教育

吊り上げ荷重が5t以上:クレーン・デリック運転士免許

また、移動式クレーンの場合は、以下の通りです。

吊り上げ荷重が1t未満:移動式クレーンの運転の業務特別教育

吊り上げ荷重が1t以上5t未満:小型移動式クレーン特別技能講習

吊り上げ荷重が5t以上:移動式クレーン運転士免許

なお、荷物をフックに掛け外しする作業を行うには、玉掛けの資格も必要です。

トラックの耐用年数はどれくらい?長く使う方法とは

トラック作業員

トラックは高価なので、できるだけ長く乗りたいですよね。

今回はトラックの耐用年数や買い替えのタイミング、寿命を延ばす方法などについてご紹介いたします。

■トラックの耐用年数はどれくらい?

早速、トラックの耐用年数についてご紹介いたします。

耐用年数はトラックの種類や用途で変動する

耐用年数とは資産の使用価値のことで、おおよその年数は法律によって定められています。耐用年数は減価償却処理を行う際の目安となり、資産の種類や使用状況に合わせて変動します。

新車の貨物用ダンプトラックは4年、その他の貨物トラックは5年と定められています。トラックの区分には「運送事業用」や「貸自動車業用」などがあるので、どのような目的でトラックを使用しているのかを基準に調べることが大切です。

中古トラックの耐用年数を計算する方法

トラックに限らず、中古の資産を事業用に購入した場合は、購入時を起点として使用可能期間(耐用年数)がどれくらいかを見積もります。

法定耐用年数が残っていない場合は「法定耐用年数×20%」で計算します。

結果が2年未満の場合は、一律2年に引き上げられます。

法定耐用年数が残っている場合の計算方法は2種類あります。

「(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)」、または、「法定耐用年数-経過年数×80%」で導くことができます。

法定耐用年数が3年残っている場合の中古トラックを例に計算してみましょう。

一般的な新車トラックの法定耐用年数は5年でしたので次のような公式になります。

「(5年-2年)+(2年×20%)」または「5年-2年×80%」

結果は3.4になります。小数点は切り捨てになるため3年が耐用年数になります。

減価償却の計算方法は2種類

減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。

<定額法と定率法>

定額法とは、トラックの購入金額を毎年同じ額だけ償却していく方法で、「購入金額÷耐用年数」の計算式で算出します。

一方、定率法は初年度の償却額を多めに計上し、年数の経過に伴って徐々に額を減らしていく方法です。

「未償却残高×定率法の償却率」の計算式で算出します。

<どちらを選ぶべき?>

一般的には定率法のほうが負担は少ないと言われていますが、実際はそうとも言い切れません。

なぜなら、定率法は計算が複雑なうえ、事前に税務署へ届出をしなければならないからです。

また、法人であれば定額法と定率法のどちらかを選択できますが、個人事業主の場合は定額法しか選択できません。

なお、トラックの減価償却には、中小企業や個人事業主が利用できる特例があります。

金額次第では、トラックの購入費用を購入した年に一括計上できるケースもあるので、心強い特例と言えるでしょう。

耐用年数が過ぎたからといって使えなくなるわけではない

法定耐用年数は法律によって定められていますが、あくまで減価償却で用いるための基準なので耐用年数を過ぎたからといって実際に使えなくなるわけではありません。法定耐用年数を過ぎていても現役で活躍しているトラックはたくさんあります。

■トラックの寿命を延ばす方法

トラック作業員

トラックの耐用年数を延ばす方法を3つご紹介いたします。

こまめな点検・メンテナンス

トラックを含め、多くのマシン類はこまめな点検とメンテナンスが寿命を大きく左右します。エンジンオイルの劣化や漏れなどは特に重要なチェックポイントです。エンジンオイルは定期的に交換し、劣化した状態で使い続けないようにしましょう。

<トラックのメンテナンス方法>

日頃から行うべき点検やメンテナンスの方法をお伝えいたします。

・オイル系

オイル類の交換は、自分で行えるメンテナンスの代表例です。

なかでもエンジンオイルは、人間の血液に例えられるほど重要な存在で、エンジンを保護するためには一定の量を必要とします。

そのため、こまめにチェックをし、量が少なければ追加しましょう。

また、オイルの減りが早いときは内部で漏れている可能性があるので、早めに修理を依頼してください。

・冷却系

冷却装置が故障するとエンジンがオーバーヒートを起こし、いずれ走行不能になってしまいます。

冷却装置の故障はさまざまな原因が考えられますが、主に冷却水の不足により生じるので、残量や水漏れが発生していないかを定期的にチェックしましょう。

・バッテリー

トラックの運行状況にもよりますが、バッテリーの寿命は平均で2~3年前後です。

バッテリーの種類によっては、自分でメンテナンスができる場合もあるので、使用期限を目安に行いましょう。

・タイヤ

タイヤには重量のほか、駆動力や制動力などの負荷がかかります。

そのため、偏摩耗した状態で走行を続けると、走行性や安全性、燃費が低下し、トラック自体の耐用年数を早めてしまいかねません。

タイヤの耐用年数を伸ばすには無理な運転は避け、定期的にタイヤを入れ替えて、バランスを調整することも大切です。

<修理を依頼した場合の費用>

整備工場などに修理を依頼した場合、トラブルの箇所や深刻度によって費用が変わります。

費用の目安は、以下の通りです。

オイル系統:小さな部品交換なら数千円程度、エンジンを組み直すような深刻な内容であれば20~100万円程度

冷却系統:液の補充などであれば数千円程度、修理や交換を必要とする場合は2~6万円程度

タイヤ:バランス調整などであれば5,000円程度、交換する場合は1本あたり3~7万円前後

<トラックの警告灯に要注意>

警告灯は、トラックにトラブルが起きていることをドライバーに伝える役割をもち、オレンジと赤の2色が使われています。

緊急を要する場合は赤色で点灯するため、覚えておきましょう。

トラックの代表的な警告灯には、以下が挙げられます。

キャブチルト警告灯:キャブがロックできていない

燃料フィルター水抜き警告灯:燃料フィルター内に水が溜まっている

エンジン警告灯:エンジンシステムの異常

油圧警告灯:エンジンオイルの圧力異常

水温警告灯:エンジン冷却水の異常

充電警告灯:充電系統の異常

ブレーキ警告灯:ブレーキ系統の異常

ABS警告灯:ABS装置の異常

SRSエアバッグ警告灯:エアバッグシステムの異常

急ブレーキや急発進を避ける

急ブレーキや急発進はトラックへの負担が大きく、耐用年数を縮めてしまう要因です。

エンジンへの負担を減らすことが長く走ることに繋がりますので、できる限り安定した走りを心がけましょう。

過積載を避ける

過積載は法律に触れることですが、トラックの耐用年数を縮める原因にもなります。

過積載寸前の量を運んでいると、車両に常に負担がかかっている状態になります。

積載量に注意し、荷台に余裕のある量を積む方ようにしましょう。

■トラックを買い替えるタイミングは?

お金

トラックの買い替え時期について悩んでいませんか?

最後に3つの買い替え目安についてご紹介いたします。

販売開始から7年未満

販売されてからおおよそ7~10年でフルモデルチェンジが行われます。

以前のモデルは型落ちとして扱われるため、一般的に価値が下がってしまいます。

高額買取を狙うのであれば、販売開始時期から6年くらいを目安に買い替えることをおすすめします。

用途や積載物の規格変更

やむを得ない事情により用途や積載物の規格が変更になった場合は、トラックの買い替えを検討しましょう。まだ使えるからといって、規格サイズが異なる積荷を行うと法に触れてしまいかねませんので、きちんと用途に合ったトラックを使うようにしましょう。

修理代が高額になった場合

長く乗っていると修理代も高額になります。車検代よりも修理代が高くなった場合は、買い替えを考える時期としておすすめといえるでしょう。中古トラックとして売ることで、次のトラック購入費用に充てることができます。

トラックの耐用年数は法で定められていますが、実際は大切に乗ることで長く使えます。

しかし、手入れをしていてもいつかは必ず買い替えが必要になります。必要な時期に買い替えを行うということも、長く使うことと同じくらい大切なことですので、いつ買い替えるかの目途を立てておきましょう。

近年注目の「セミオートマトラック」とは?マニュアルトラックやオートマトラックとの違い

白トラック斜め前画像

黒キャップの女性

トラックと言えばマニュアルトラックが広く使用されているものの、近年は「セミオートマトラック」が注目を集めています。オートマトラックとは異なるセミオートマトラックは、どんなトラックなのでしょうか?

今回はセミオートマトラックについて、マニュアルトラックやオートマトラックと比較しながら詳しくご紹介いたします。

■セミオートマトラックはどんなトラック?

・3種類のトランスミッション

自動車の変速機であるトランスミッションは3種類に分けられます。マニュアル、オートマ、セミオートマの3種類です。クラッチペダルはマニュアル車にしかありません。

<マニュアルトランスミッション>

ドライバー自身が変速操作を行う原始的なトランスミッションで、多くのトラックに採用されています。

構造がシンプルで故障も少なく、購入費用や維持費を抑えられる一方、細かい変速操作に慣れるまでは運転が難しく感じる場合もあるでしょう。

なお、オートマ限定の免許では運転できません。

<オートマチックトランスミッション>

乗用車のほとんどに採用されています。

4種類のシフトを使い分けて操作を行いますが、運転中にメインで使用するのはドライブとリバースの2種類です。

変則操作が不要でハンドル操作に集中して運転できるため、運転に慣れていない方でも比較的簡単に運転できます。

ただし、構造がマニュアル式よりも複雑な分、購入費用や維持費のほか、修理費用も高めです。

<セミオートマチックトランスミッション>

マニュアル式とオートマチック式の長所を併せもったタイプです。

基本的な構造はマニュアル式とほとんど変わりませんが、クラッチ操作が不要で、変速の管理は機械が自動で行います。

ドライバーはシフトを切り替えるだけでよいので、運転中の負担を減らせるでしょう。

購入費用や維持費は、オートマチック車とマニュアル車の中間にあたり、燃費の面では、熟練ドライバーが運転するマニュアル車には劣ると言えます。

・セミオートマトラックとは

白トラック斜め前画像

オートマトラックと同様にクラッチペダルがないトラックのことです。クラッチが自動であること以外はマニュアル車と同じ構造で、細かい変速も可能です。運送業界が慢性的なドライバー不足のため、運転に不慣れなドライバーでも操作しやすいセミオートマトラックの需要が特に高まっています。

・セミオートマトラックの種類

各トラックメーカーからセミオートマシステムが開発されています。

<日野>

「プロシフト」というセミオートマシステムを導入しています。シフトチェンジを自動化しており、他社のオートマのようなATではなくAMTと表記されます。

<いすゞ>

いすゞのセミオートマシステムは「スムーサー」と呼ばれています。マニュアルシステムにフルードカップリングと摩擦クラッチを組み合わせて、クラッチを自動制御しています。

<三菱ふそう>

「イノマット」というセミオートマシステムで、コンピュータ制御による自動変速を行います。5~16段のギア段数があります。

<UDトラックス>

UDトラックスは「エスコット」というセミオートマシステムを導入しています。機械式セミオートマで、日野と同様にAMTと表記されます。

・AT限定免許で運転できる?

セミオートマトラックはAT限定の免許で運転できます。セミオートマトラックにはクラッチペダルがなく、アクセルペダルとブレーキペダルの2本のみです。そのため扱いやすく、ドライバーの負担軽減にもつながります。

■各トラックのメリット・デメリットを比較

おもちゃの白トラック2台

・マニュアルトラックのメリット・デメリット

マニュアルトラックは、オートマやセミオートマのトラックと比べて構造がシンプルです。そのため、車両価格が安いうえに故障もしにくく維持費も安いメリットがあります。一方デメリットはクラッチペダルを踏みながらギアチェンジをしなければならないため、操作に慣れる必要があることです。

・オートマトラックのメリット・デメリット

オートマトラックのメリットは、変速操作が不要なことです。ドライブポジションに入れてしまえば自動で変速操作が行われるため、ハンドル操作だけに集中できます。オートマトラックのデメリットは本体価格や維持費が高いことです。

・セミオートマトラックのメリット・デメリット

セミオートマトラックはマニュアルトラックよりも操作が簡単で、オートマトラックよりも細かい変速操作ができるメリットがあります。マニュアルトラックに比べると構造が複雑なので、本体価格や維持費は高いのがデメリットです。

■セミオートマトラックは中古車購入がおすすめ

セミオートトマトラックの導入を検討しているなら、中古市場も視野に入れて探してみましょう。

その理由と、購入時に確認すべきポイントをご案内いたします。

・中古市場にセミオートマトラックが増加

セミオートマトラックの普及により、中古市場へ流入する台数も以前より増えています。

中古トラックは新車よりも低価格で提供されているほか、点検と整備を済ませた状態の現物がすでに存在するため、比較的納車もスムーズな点がメリットです。

なかには、新車と同程度の良質な中古トラックも取り扱われているケースもあります。

一方、新車は納車までに一定の期間を要するうえ、セミオートマトラックの場合は構造が複雑で、それなりの製造コストが必要なため、販売価格は決して安くありません。

導入コストを抑えたいなら、中古市場から適したトラックを選んでみてはいかがでしょうか。

・購入時に確認すべきポイント

中古トラックは点検・整備が行われているものの、状態は車両ごとに異なります。

そのため、購入時は細かい部分まで確認しましょう。

<基本項目>

まずは、以下の基本的な内容を確認しましょう。

  • 年式
  • 走行距離
  • 整備点検記録簿
  • 車検証の内容
  • 自賠責保険証明書の有効期限
  • 自動車税の納付履歴
  • スペアタイヤの有無
  • 車載工具など付属品の有無
  • エンジンの音や振動、ブレーキの効き具合

<外装>

購入直後に不備を発見することのないよう、外装をチェックする際は以下の項目を見ます。

  • ボディの傷やへこみ
  • タイヤの減り具合
  • シャーシの歪みやサビ
  • 荷台・あおりの状態と開閉具合
  • 窓・ミラー・ランプなどの状態と動作確認
  • 車検ステッカーの内容

<内装>

内装の状態はドライバーのモチベーションを左右するため、内装をチェックする際は以下の項目を見ます。

  • キャビンのにおい
  • エアコンのにおいと動作確認
  • メーターパネルやインジケーターランプの動作確認
  • オプションの有無と操作方法

・購入後のトラブルを避けるには

数ある中古セミオートマトラックの中から購入する1台を見つけるには、希望する年式と走行距離に見合う候補を絞ったのちに現物を確認する必要があります。

一般的にトラックの寿命は10~15年ほどと言われており、年式と走行距離はエンジンやブレーキの状態を測る目安になるため、一つの指標にしましょう。

また、購入後のトラブルを避けるためにも、購入前に試乗をし、ハンドルや足回りの感覚、異音などを入念に確認することも大切です。

■まとめ

セミオートマトラックはマニュアルトラックの操作に慣れていないドライバーや、AT限定の免許しか取得していない人でも運転が可能です。ドライバー不足解消のためにも、セミオートマトラックの導入を検討してみてはいかがでしょうか。