ユニック車を扱えると仕事の幅が広がりますが、無資格・無免許で運転することはできません。ユニック車の運転には必ず資格をとりましょう。
今回はユニック車の運転に必要な免許と資格についてご紹介したいと思います。
■ユニック車について
まずはユニック車について、簡単にご紹介いたします。
・ユニック車とは
移動式クレーンの一種で、トラックの運転席と荷台の間に小さなクレーン装置を搭載した車両積載型クレーンを指します。トラックとクレーンが合体しているため、1台で2役をこなす万能さが人気です。
「ユニック」とは、クレーンを製造する国内メーカーの登録商標で、日本に普及する約半数がこのメーカーの製品であることから、代名詞として使われるようになりました。
他にも「カーゴクレーン」や「トラッククレーン」と呼ばれることもありますが、すべて車両積載型クレーンを指しています。
・代表的なクレーンメーカー
クレーン装置の製造と取り付けは、国内メーカーが手がけています。
代表的なメーカーとして「古河ユニック」と「タダノ」が挙げられ、どちらの製品も品質と操作性に優れています。クレーンの色はメーカーで異なり、古河ユニックは赤色、タダノは青色です。
・ユニック車が活躍する場所
ユニック車は、クレーンで吊り上げた荷物を荷台に載せて運ぶ作業がメインです。
たとえば、建築現場で資材を運搬したり災害時に瓦礫(がれき)を撤去したり、引っ越しの際にも役立ちます。人の手では時間のかかる作業をスピーディーかつ安全に行えるのが魅力です。
■ユニック車の運転で必要になる免許
・ユニックの操作に必要な資格
ユニックは吊上げる荷物の重さによって必要な資格が異なります。取得方法も異なるので、3種類ある資格のうちどれが必要なのかを調べておきましょう。
【吊上げ荷重が0.5t以上1t未満】 小型移動式クレーン運転の業務に係る特別教育
【吊上げ荷重1t以上5t未満】 小型移動式クレーン運転技能講習
【吊上げ荷重5t以上】 移動式クレーンの運転免許(移動式クレーン運転士)
なお、5t以上で必要な移動式クレーン運転士の資格は国家資格です。合格率は実技試験60%、学科試験76%くらいとされていますので、非常に難しいというわけではないようです。
・ユニック車の走行に必要な免許
ユニック車はクレーン付きトラックなので、操作に必要な資格だけでは公道を走ることができません。
【車両総重量5t未満、かつ最大積載量3t未満】 普通自動車免許
【車両総重量5t以上11t未満、かつ最大積載量6.5t未満】 中型自動車免許
【車両総重量11t以上、かつ最大積載量6.5t以上】 大型自動車免許
注意しておきたいことは、ユニック車をレンタルする場合、運転免許がなければレンタルできないということです。
■併せてとりたい免許
運転と操作の資格を取得しても、吊上げ荷重1t以上のクレーンに荷物をかけたり外したりするには「玉掛け技能講習」を受講しなくてはなりません。
運転と操作資格だけでは十分な作業がこなせない可能性がありますので、クレーンの資格を取得する際には玉掛け技能講習も受講することをおすすめします。
なお、1t以上の荷重は「玉掛け技能講習」、1t未満の荷重が「玉掛け特別教育」になります。玉掛け技能講習は12時間の学科、7時間の実技講習があります。
■ユニック車の資格取得について
こちらではユニック車に必要となる資格や免許、それぞれの受講内容などをご紹介いたします。
・移動式クレーン運転士
移動式クレーン運転士の資格を取得すれば、ほぼすべての移動式クレーンを運転することができます。
実技と講義の講習があり、免許取得までにかかる時間は7~10日くらいになることが多いようです。試験にも学科試験と実技試験がありますが、教習所や学校に通っていると実技試験が免除になります。
<講習の時間と料金>
【学科講習のみ】約20時間、6万円
【実技講習のみ】約12時間、10万円
【実技と講習の両方】約30時間、13万円
・小型移動式クレーン運転に関する特別講習
小型移動式クレーン運転講習は、吊上げ荷重0.5t以上1t未満の荷物を運搬するために必要な資格です。
学科講習は9時間、実技試験は4時間程度かかります。早ければ2日で取得可能です。なお、小型移動式クレーン運転に関する特別講習も所有する資格や免許によっては一部講習が免除されることもあります。
・小型移動式クレーン運転技能講習
吊上げ荷重1t以上5t未満のクレーン操作時に必要となります。
講習では学科試験と実技試験の両方が必要です。なお、未経験者は約20時間の講習になりますが、現場経験かつ有資格者の場合は講習時間が一部免除されます。
<取得していると講習が一部免除される資格>
①クレーン運転免許
②玉掛け技能講習修了者
③床上操作式クレーン運転技能講習
20時間必要な場合でも最短3日で取得可能です。
※時間や料金は教習所、地域、学校によって異なるので、あくまでも目安です。詳しい情報は教習所などの公式ホームページなどから確認をとるようにしてください。
■ユニック車の免許取得にはどんなメリットがある?
ユニック車が操作できると、どのようなメリットがあるでしょうか。
・仕事の選択肢が増える
ユニック車の免許を保有していると、新たに活躍できる場が広がるでしょう。
先述の通りユニック車が使用される場面は多く、求人数も豊富なためです。また、同じ職場でも業務の幅が広がり、大きな仕事を任されるかもしれません。
・収入アップのきっかけになる
ユニック車の免許を保有していることが評価され、収入アップにつながる可能性もあります。
300~400万円ほどの年収が見込めるので、キャリア形成のきっかけとして取得してはいかがでしょうか。
・時間を有効的に使えるようになる
現場によっても異なりますが、ユニック車を操作する業務は就業時間のバラつきが少ない傾向にあります。
さらに夜勤も少ないので、仕事が終わったあとの時間も有効的に使えるでしょう。
■ユニック車の免許を紛失した場合
クレーンの免許証は業務の際に携帯しなければなりません。
万が一免許証を紛失してしまった場合の対処法について、大阪労働局を例にご紹介いたします。
・免許の再発行はできる?
移動式クレーンの運転免許ならびに技能講習修了証を紛失した場合は、交付を受けた都道府県の労働局、または住所地の労働局に申請することで再発行が可能です。
なお、本人が窓口で申請することが原則ですが、最寄りの労働局や労働基準監督署で本人確認をした場合は郵送でも行えます。
・免許の再発行に必要なもの
再発行の申請に必要な書類などは以下の通りです。
<免許申請書>
- 申請書は労働局や労働基準監督署で入手する
<収入印紙>
- 1,500円分の印紙で消印のないもの
<写真1枚>
- 縦30mm×横24mm
- 無帽、無背景で6か月以内に撮影した鮮明なもの
- 顔や髪が切れているものは使用不可
<返信用封筒>
- 簡易書留で返送されるため、404円分の切手を貼り付ける
<本人確認証明書>
- 公的機関が発行した原本で住所、氏名、生年月日が確認できるもの
- 顔写真のないものは2部必要
<減失事由書>
- 労働局または労働基準監督署で入手する
<本人確認済の判を押した申請書の写し>
- 郵送で行う場合に必要
- 最寄りの労働局などで判をもらった写しを郵送する
なお、申請書類などは2022年4月時点での情報です。内容が変更されている場合があるので、実際に申請する場合は最新の情報を確認してください。
ユニック車は多様な業界で活躍しているので、資格があれば活躍の機会を増やすことができます。これを機に、免許を取得してキャリアアップに役立ててみてください。