トラックがオーバーヒートする原因はさまざまですが、多くは冷却装置の故障によって引き起こされます。そのまま走行を続けたり対処を誤ったりすると、エンジンのトラブルを招いてしまいかねないので、事前に症状や対処法を確認しておきましょう。
今回は、トラックがオーバーヒートした場合の対処法をご紹介いたします。
■オーバーヒートとは
万一の場合にすぐ気付けるよう、状態や症状を把握しておきましょう。
・オーバーヒートの状態
オーバーヒートとは、冷却システムに異常が発生し、エンジンの熱が下がらない状態をいいます。場合によっては突然エンジンが停止してしまうため、注意が必要です。
・オーバーヒートした場合の症状
オーバーヒートすると、いくつかの症状が表れます。
<水温計の表示が異常を示す>
水温計の「C」は冷却水が低温であること、「H」は高温を意味します。
通常であれば、針はCとHの中間を指しますが、オーバーヒートするとHに近付きます。
水温計がない場合は、水温警告灯をチェックしましょう。
<エンジンルームから煙が出る>
エンジンルームから、煙のような水蒸気が発生します。
水蒸気の正体は気化した冷却水で、本来なら循環するはずが外に漏れていることを意味します。
<エンジンの回転数が不安定になる>
エンジンの回転数が不安定に感じる場合、オーバーヒートによりエンジンに大きな負荷がかかっているかもしれません。
<オイルの焼けたようなにおいがする>
エンジンが高温に達すると周囲も損傷を受けるため、エンジンオイルが漏れて金属に付着し、オイルの焼けたようなにおいがします。
また、エンジンオイルが不足して金属の摩耗が進むと、エンジンの「焼き付き」が起こります。
■オーバーヒートする原因
原因を放置していると、後悔する結果を招いてしまうかもしれません。
・冷却水の漏れ
冷却水はエンジンを冷やす役目を担うため、何かの影響で漏れたり不足したりするとエンジンが十分に冷えず、オーバーヒートします。
消耗品のため、定期的に量を確認しましょう。
・冷却装置の故障
ラジエーターと呼ばれる冷却装置の故障は、冷却水が漏れる原因の一つです。
ラジエーターは経年により目詰まりするので、定期的に清掃や交換を行いましょう。
・ウォーターポンプの故障
エンジンに冷却水を送り込む役目を担うため、故障すると冷却水が循環せず、オーバーヒートします。
走行距離10万kmを目安に交換しましょう。
・エンジンオイルの不足
エンジンオイルは潤滑の他に、冷却水が循環できないパーツの冷却も担っています。
トラックは乗用車よりも消費しやすいので、定期的に点検しましょう。
・サーモスタットの不具合
温度に応じて開閉し、冷却水の流れを調整します。
劣化するとバネが正常に働かず、冷却水が十分に供給されません。
交換時期は走行距離10万kmを目安にし、長距離を走行する場合は特に意識しましょう。
・エンジンに負荷がかかる運転
エンジンの回転数が高い状態や、トラックに風が当たりにくい状態が続くと、エンジンに負荷がかかり、オーバーヒートします。
適宜停車して、エンジンの熱を下げましょう。
■オーバーヒートした場合の対処法
オーバーヒートした場合の対処法をご紹介いたします。
1.安全な場所に停車する
周囲を確認し、安全な場所に停車します。
2.キャブオーバーを開けてエンジンを自然に冷やす
トラックの運転席を前傾させ、エンジンを露出させて熱を放出します。
すぐにエンジンを切ってしまうと冷却水やエンジンオイルの循環が止まり、温度上昇や焼き付きが起こる可能性があるので、注意しましょう。
ただし、冷却水が足りない場合は、すぐにエンジンを切ります。
3.エンジンを切り、冷却水の量や水漏れを点検する
水温計の針が正常に戻ったら、エンジンを切ってしばらく様子を見ましょう。
停車直後にラジエーターキャップを開けてしまうと、高温の冷却水が噴き出し、火傷をする恐れがあるためです。
エンジンが十分に冷えたら、キャップを開けて冷却水の量や水漏れを確認します。
状態によっては、再びエンジンをかけられますが、可能であればそのまま整備工場へ連絡し、早急に修理しましょう。
トラックのオーバーヒートは、エンジンの冷却が追い付かなくなった際に起こります。
走行中に異変を感じた場合は、慌てず落ち着いて対処しましょう。